「狂蓮集」と、絶望的な片思いと、アダルトビデオ


連休、皆様はどないお過ごしでごさいましょうか。
 わたくしは、土曜日は半日仕事やったのですが、それでも久々の連休に喜びながら、何をしているのかというと・・・
 全く外出もせずに、汚い部屋の掃除も放棄して「AV」を観ております。
 しかも、あんまり抜けねぇAVをっ!! 観すぎてケツ痛てぇ。

 具体的に言いますと、手元にある数本のV&Rプランニングの90年代の作品のVHSをHDDにダビングするという作業をしているのです。こちらのブログを読んで下さっている方は、普段AVを観ない方も多いと思いますので、V&Rプランニングとはナニか・・みたいなことを説明せねばと思いつつ、上手く書けないんですが、カンパニー松尾平野勝之井口昇バクシーシ山下など、錚々たる監督がそこで才能を開花させた、「AV界のトキワ荘」(?)いや、「梁山泊」と言った方がふさわしいのかしら。
 詳しくは、井浦秀夫さんの漫画「職業AV監督」「AV列伝」などを読んでくださるのが一番わかりやすいかと思われまする。

 まだちょいとこの作業は残っているのですが、昨夜からダビングする傍らで、バクシーシ山下監督、カンパニー松尾監督、平野勝之監督の作品をずっと観ておったのですね。松尾監督はともかく、はっきり言ってバクシーシ山下平野勝之両監督のはヌけませんわ〜。ヌけねぇけど、ムチャクチャ面白いんですよ。早送りできねぇよ。平野作品の中では、先日、京都みなみ会館での「片腕マシンガール」の先行上映の際に、握手してサインもらっちゃった井口昇監督が、ウンコかけられたり、(平野監督のモノを)フェラさせられてたりされておられました。
 バクシーシ山下カンパニー松尾両監督の作品は、観ながらいろんな感情が湧き上がってきます。「素通りできない」AVなんですね。

 平野作品は、なんていうか、もう、御本人にもその作風に「坂口安吾のような絶対的な孤独を感じます!!」(きゃーっ! 恥ずかしいぃーっ!)と言ったことがあるのですが、安吾が書いているように「孤独は人間のふるさとであります」と。わたくしの「ふるさと」を感じるのです。非常に、暴力的でアナーキーなふるさとやけど・・・

 おもしろいなー、すごいなー(幼稚園児みたいな表現力でホンマすいません)と思って見ているわけです。
 この前も、「何で(女の人が)AVをそんなに好きなのですか?」と聞かれたのですが、最初に観たAVが代々木忠監督の「ザ・面接」でして、その後、近所のレンタル屋の代々木作品を見漁ったのですね。それからしばらくは離れていたんですけど、ある時に偶然、平野勝之監督の「由美香」、カンパニー松尾監督の「熟れたボイン」を観る機会があり、今に至ります。

 だから、(AVに関しては)私は非常に運がいいのですよ。偶然に出会う作品が、ことごとく「名作」「傑作」でしたからね。「熟れたボイン」は、当時の彼氏がくれたものだったんですが、もしそれが違うAVだったなら、その後、カンパニー松尾という稀な才能を持つクリエーターに惹かれて影響を受けることも無かっただろうし。
 ブログにも書きましたが、先日の井口昇監督の「片腕マシンガール」を観て、勿論映画も面白かったのですが、井口監督の「開きっぷり」に感動したのです。ナニが開いてるのかっていうと、「リエーターのチャクラ」みたいなもんです。

 V&Rプランニングの名作をDVD化して欲しいです。私がここで幾ら「おもしろい!」と書こうが、読む人がそれを簡単に手にとる機会が限定されているのが(私自身も)もどかしい。


 別サイト始めました。エロ坊主一休宗純和尚の「狂雲集」にちなんで、「狂蓮集」というタイトルで、こちらは、DMM DVDに掲載しているコラム「アダルトビデオ調教日記」を中心にUPしていきます。今、現在は、第一回、第二回のみUPしておりまして、この辺りはこちらのブログの美少女調教シリーズと変わらない内容なのですが、これから内容は「エロ日本史」に変化していきます。歴史の勉強になります(マジに)「エロと日本史」・・・これこそ、自分の最も書きたいことやないかと思っております。戦国時代、江戸時代、古事記源氏物語などをちょろっと題材にしたエロ話コラムですので、よろしければどうぞごらんください。
 日本史ってエロいんですよっ!


 女性向けラブグッズショップ「Lovely Pop」さんが運営されている、大人の女性のWEBマガジンの「女性向けAV・DVDの可能性は?」というお題のコラムの第10回にて、「歌餓鬼抄」紹介されちゃいました。きゃーっ!(赤面)

 「田中課長さん」(女性です)によって書かれております、このコラム、全て読ませていただきましたけど、何が面白いのかって、AVを女性に紹介するコーナーながら、田中課長さんが「AVを好きじゃない」「なんかイヤ」なんですね。私もですけど、女性でAVに関して何か書く人ってのは、AVが好きな人やないですか。でも、「AVが好き!」「AV購入してます!」なんて女は極めて少数派で特殊なんですよ。いや、男でもAV観ない人、買わない人の方が多いと思います。昔、独身時代はレンタルでちょこっと見てたけど、今はわざわざ買わないなーって人とか。ネットでなんぼでも無修正観られるしね。

 AV業界の人と交流を持ち、こうしてネットでAVのことを書いて、当たり前のようにAV話をするようになると、ついつい錯覚してしまうのですが、「世間の人の大多数はAVを見ていない」のですよ。きっちりアンケートをとったわけではないのですが、私のブログを読んで下さる方も、ほとんどがAV観ていない人(女性は特にそうでしょう)やないかと推測しているんです。
 私は自分の友達にAVを見せたりはしますけど、彼女達が自主的に買って所有することは未だ無いです(家族や彼氏に見つかったら困るとのこと。そらそうだ)

 私のようにAVを所有して(しかも、一本二本の話じゃないしね)、定期購読する雑誌はAV情報誌のみなんて女は、はっきりいって、ひかれるっ! 普通は、ひくっ! あるいは「珍獣」のように面白がられるかですね。
 私は一応、堅い(?)仕事をしているもので、そこの仕事関係者には「AV好き」なんてことは言えねぇんですよ。どんな不愉快な言われ方されるか予想はつく。
 でも実際に、「裸でセックスする」世界は、そんな胸はって世間で堂々とするもんやないとも思うんですよ。堂々とされたら困っちゃうし、エロくない。コソコソとした娯楽やと思うんです。堂々と出来ないコソコソとした娯楽だけど、それは立派な文化で、必要とされてきたことは歴史が物語っているのです・・・と、いうことは、上記の「狂蓮集」のアダルトビデオ調教日記の中で書いていきます。

 ともかく、私は「AV好きの変な女」なんですが、それでも、こんないい作品があるよーと言いたいがために、このサイトでたまにAVレビューなどを書いておるのですよ。AVがセックスを描くもので、オナニーのオカズだということは皆が知っていることで、だからこそ「彼氏がAVを持つことを嫌がる女性」もいるのですが(自分以外の女性に欲望を持つことを嫉妬するのでしょうか)「AVって、それだけじゃないんだよーん」ということを、一応ここでは書いているつもりでございますの。

 AVはオナニーのオカズだから、「ヌけない」AVに用は無いっ! とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、アンタ! そんな心の狭いこと言わんといてくれなはれっ! と泣いて着物の裾に取りすがりたくなるのです。
 セックスを描くことが許される「アダルトビデオ」という創作ジャンルだからこそ、描けるものが、「アダルトビデオ」でしか描けないものがあるんですもの。
 
 私がこのサイトで書いているのは、AVの「エロ」+αみたいな部分やと思うんですね。その「+α」が、誰かの心の琴線に触れたら、非常に嬉しいんです。

 今回、田中課長さんが私のコラムに来られたきっかけは、「マンコがマンコに恋する理由」のレビューだそうです。この、口に出しにくいタイトルのAVは、レズビアン物なのですが、女同士云々ではなく、「絶望的な片思い」の哀しさと幸福が、松野ゆいという感情表現の豊かな女優によって描かれた作品なんです。

 松野ゆいの「絶望的な片思い」に、私は個人的な感情を掻きたてられ、どっぷり感情移入してしまって、泣きながら観ていたのですが、そういう「絶望的な片思い」の哀しさとか苦しさとか、幸福とか・・・・そういうものに身に覚えのある人って、たくさんいると思うんですよ。
 この私の個人的な感情ダダ流しした文章(これは客観的になってないので、ホントは批評になってないのですよね)を、私個人はダダ流しし過ぎて読み返したくないのですが、AVには、そういうことが描ける「可能性」があるのです。

 よろしければ、できたら特に「普段AVを観ない、AVが好きじゃない女性」の方、こちらのサイトの「アダルトビデオ」のカテゴリを覗いてください。

 あと、田中課長様(同じような時期に京都で大学生してたみたいなんですよ、学校は違うけど)は、第一回でこう書かれております。


>私はアダルトビデオ、DVDが好きじゃない。好きじゃない、なんて、断言できるほど、数多く見ているわけじゃないですが、その少ない何本かの鑑賞体験がなんだかなーみたいな気持ちしか残らず。そこに写っているセックスが、なんていうんでしょう、セックスしたくなくなるぐらい、自分にとっておもしろくない。


 これって、ほとんどの女性がそうなんじゃないでしょうか? で、私はすっかりAVに対する感覚が、普通の女性とズレています。麻痺しております。どっちがいいとか悪いとかやなくて、私はAVを好きなんだからしょうがないんですけど、「他の女性はそうじゃない」ってことを、ちゃんとわからないといけないと思うんですね。それはAVのことに関してだけやないけど。自分の世界はあくまで自分だけの世界であって、人と違うということはわかっていないといけない。そのことを、こちらのコラムを読んで思って、結構目に鱗でした。

 女性のほとんどは、「彼氏がAV観るのがイヤ」だったり「AVなんてつまんない」「好きじゃない」って思っていることを、わからないと、私はAVについて書いちゃいけないと思う。AVに対して嫌悪感を抱く人達もいて、AVを好きな人に「引く」人達がいることも。そして、その人達が「悪」で、私の側の人間が決して「正義」ではないことも。そういうバランスは持っていないといけない。これからも何かを書くのなら。
 誰かが創作した「作品」について書くのならば、自分が何かを創作するのならば、絶対に自分が「正義」だと思っちゃいけない、「正義」だと思う人は書く資格が無い。

 そんなふうに想う、夜。
 窓を開けて外を見てください、満月です。
 あなたもこの満月を見ているのでしょうか、見て下さい。