送り火

 うずまきあやたん!
 明日17日発売の小説すばる9月号「OH! マイアイドル」のコーナーに、私が今、一押しのアイドルについて書いております。
 彼女の名は、柴田綾、通称「うずまきあやたん」です。
 関西在住でテレビのレギュラー番組を持ちCDも出しているれっきとしたアイドルの柴田綾さんは、小学生の時に伊藤潤二の「うずまき」を読んで、その虜になり、それから15年間、うずまきを探し続けているのです。
 イベントに出演された時は、イヤリング、髪飾り、ネックレス、指輪、ワンピース、鞄、ブレスレット、全てうずまき模様でした。ロールケーキやソフトクリームも大好きだそうです。うずまいてるから! 彼女のツイッター、ブログでは毎日「今日のうずまき」の写真がUPされています。
 ちなみに「うずまき」という漫画は、グロテスクで残酷で救いがない後味が最悪の傑作漫画です。美しくて笑えるホラーです。柴田さんの影響で、久々に「うずまき」と「富江」読み返したけど、やっぱりおもしろいわー。富江も大好き。富江の性格最高!
 柴田さんは富江に憧れて黒のパッツンウィッグも持っているそうな……。
 うずまきアイドルのことは話には聞いてたんだけど、不思議ちゃん系か、私って人と違うのよ自意識過剰系の人なんじゃないかと勝手に想像していたら、会ってみたら、明るくて賢くて礼儀正しくて、そしてものすごく律儀な人でした。喋りも上手くて、司会業の方でも売れっ子らしい。
 ミニシアター系の映画や、妖怪も好きらしいし、そっち系のイベント出演とかの仕事もどんどんして欲しい。
 ついでに次回の「富江」の映画化の際には、是非、富江役を演じて欲しいです。
 とにかく、一度、彼女のブログを覗いてみてください。
 うずまき愛に飲み込まれてしまいそうになるから。
 



柴田綾ブログ
柴田綾twitter 

 

うずまき (ビッグコミックススペシャル)

うずまき (ビッグコミックススペシャル)

 
小説すばる 2013年 09月号 [雑誌]

小説すばる 2013年 09月号 [雑誌]





 送り火 

 今日、16日は京都では五山の送り火の日です。京都の五つの山に火が燈される送り火、いつ、誰が何のためにはじめたのかは諸説ありますが、「大」の字は人間の身体を現すので、それに火をつけるのは人間の煩悩を焼き尽くそうという意味があるのではとも言われています。また、お盆に帰ってきた精霊たちをあの世の送る「送り火」だとも。

 昨年11月に幻冬舎より出版された拙著「女の庭」は、五山の送り火の日に、恩師の葬儀で再会した五人の女の物語です。焼き尽くされぬ性の煩悩を抱えた女たちが、一年後の送り火の日に再会を約束します。
 兄を心中で亡くし、「愛などいらぬ、身体だけでいい」と複数の男と関係する絵奈子、裕福な実家の援助を受け夫と子供と平穏に暮らすが欲求不満を募らしインターネットのブログに逃げ場をつくる里香、元モデルで華やかな人生を東京で送るはずだったのに、派遣社員も首になりかけ妹にも馬鹿にされ、ロクでもない男との関係に溺れる愛美、地味で冴えない女で、故郷にも帰れず京都で夫とカフェを営みながらアブノーマルな性の世界にのめりこんでいく唯、セックスは嫌いだけど人肌を乞うてゲイの男と肌を合わす翠――五人の女たちの心の中には、大学時代に観てしまったある映像の存在があります。あのビデオの写っていた女は、誰なのか――。


 女って、いったいどれぐらいの率で「私は性的に100%満足している」と思っているんでしょうね? セックスは相手ありきのことだから、セックスが嫌いな人も、好きな人も、自分の求めるものが十分に満たされる確率なんてそんなにないんじゃないかと思っています。わからんけど。でも、人間対人間のことだから、したいからすればいいというもんでもないし、こちらがしたくても相手はしたくなかったり、お互いしたくても、そのことで壊すものや失うものが存在したりとか、なかなか折り合いがつけにくい。


「女の庭」を書いて思ったのは、自分はやっぱり行為そのものよりも、セックスがもたらす痛みとか悦びとかそういう感情や、セックスをする人たちの関係性に興味があるんだなということ。気持ちのいいセックスよりも、幸福なセックスや、心に残るセックスを眺めていたい。
 だから代々木忠監督のAVが好きなんだろうな。
 代々木さんが探し続けているものは、セックスの果てにあるもののような気がする。
 そこは枯野で、何もないかもしれないけれど。目に見えるものや、言葉にできるものは。


 最近は、AV全然観てないんです。時間的なこともあるけど、どれだけ「上手」「エロい演出」がなされようが、お仕事のセックスに興味がなくて、観ても何も感じなくなったから。


 とはいえ、自分が何を描いてるのか、どこに向かうのか、何がしたいのかって、わからないんですよ。それは最初から、そう。私にはやりたいことや書きたいことが、自分でははっきりとわからないし、持ってないかもしれない。
 そこを教えてくれるのは、私の書いたものを読んでくれた編集さんだったり、読者だったりします。



 送り火の日に、「女の庭」いかがでしょうか? 特設サイトはこちらです。


 

女の庭

女の庭




 野性時代&J−novelもよろしゅうね。野性時代にはホラー短編が、J‐novelには大崎善生さんとの対談が掲載されております。
 

小説 野性時代 第118号 (KADOKAWA文芸MOOK 120)

小説 野性時代 第118号 (KADOKAWA文芸MOOK 120)




 一泊二日だけど北海道に行ってきました! 旅行! じゃなくて、仕事だけど!!
  新直木賞作家の桜木紫乃さんと一年ぶりの再会&対談してきました。また告知します。
  北海道が涼しくて過ごしやすくて、帰るのが嫌で新千歳空港でブルーになっていました。
  また行く……絶対に行く……。

まだまだ怖い夏は続く

 明日12日発売の月刊ジェイ・ノベル9月号(実業之日本社)に、大崎善生さんとの対談が掲載されております。
  団鬼六伝「赦す人」の著者でもあります大崎さんと「作家・団鬼六」について語り合っております。
  知らない話をたくさん聞いて、驚いちゃった。

  

  

赦す人

赦す人

  




 同じく明日12日発売の野性時代角川書店)のホラー特集に短編が掲載されております。
  タイトルは、「神様、お願い――あの女の望みが叶いませんように」です。願いという名の呪いを抱いて血を供える人々が訪れる神社を舞台にしたお話です。
  まだまだ怖い夏は続きます。よろしくお願いします。


  

小説 野性時代 第118号 (KADOKAWA文芸MOOK 120)

小説 野性時代 第118号 (KADOKAWA文芸MOOK 120)



 最近のわたくし


 告知追いついていないんですが、今発売中の「ダ・ヴィンチ」にインタビューが載ったり、京都、元立誠小学校特設シアターで上映中の映画「立候補」のトークショーに登壇したりしています。
 映画「立候補」、2回観ましたが、まだ観たいです。
 大阪京都が舞台なので関西の方は是非、観に行って欲しい。
 笑って泣ける傑作ドキュメンタリーです。HPはこちら
 
 周りで夏風邪が流行っております。皆さまご自愛ください。
 私は今の家に越してから一度も風邪をひいていません。多分、はっこつんのおかげやと思います。
 ちょうどもうすぐ1年になりますね、我が家の隣家で白骨死体が発見されてから……。(それを夫がはっこつんと名づけました)
 

 「萌えいづる」「女坂」絶賛発売中です。

 

萌えいづる (実業之日本社文庫)

萌えいづる (実業之日本社文庫)

女坂 (講談社文庫)

女坂 (講談社文庫)

新刊のお知らせなど

 メンズナウの連載コラム「関西エロ名鑑」第29回UPされました!
  今回、登場していただいたのは第7回「幽」怪談文学賞短編部門準大賞を受賞され、共著で処女作を出されたばかりの織江邑さんと剣先あおりさんです。
 新人小説家として、厳しい世界に足を踏み入れたおふたりに話を聞いております。
 「夢の印税生活なんてない」とか、小説家志望の人にとっては痛い話を書いているかもしれません。
  こちらから読めます


 

地蔵の背/埃家 (幽BOOKS)

地蔵の背/埃家 (幽BOOKS)





☆ 8月は新刊が2冊出ます。どちらも文庫です。


 まずは8/6実業之日本社文庫より「萌えいづる」発売です。平家物語をモチーフに、5人の女性の「別れと哀しみ」を性愛を軸に描いた連作短編です。舞台は、長楽寺、祇王寺、滝口寺、清閑寺祇園女御塚など、平家物語ゆかりの場所です。各章ごとに平家物語のエピソードの紹介、巻末に京都の地図も載っています。
 あと、「萌えいづる」の発売に合わせて、昨年実業之日本社さんより出版しました「寂花の雫」も新たなる装いで書店に並びます。


 

萌えいづる (実業之日本社文庫)

萌えいづる (実業之日本社文庫)


 8/9講談社文庫より「女坂」発売します。こちらは官能色強めで、京都東山にある「女の園」を舞台に、女と女の支配と孤独の物語。舞台となるのは東山七条、東福寺北野白梅町などです。
 解説は、なんと! 「美人論」などでおなじみの井上章一先生!
 もともとこの話の発想は、社団法人現代風俗研究会の懇親会にて、私の母校(中退だけど)の話をしていた時に、井上先生が「次はそこを舞台にしたらどうですか? タイトルは『女坂』で」とおっしゃったことから、本当に一冊書いてしまったという……。まさか解説まで引き受けていただけるとは思いもよりませんでした。ありがとうございます。

 

女坂 (講談社文庫)

女坂 (講談社文庫)


 どっちも装丁がすばらしい。
 
 よろしくお願いします。

 いろいろ情報がごちゃごちゃしてきたので、現在、HP制作中です。

夏は人妻と怪談ですね

 現在発売中の「特選小説」9月号に短編祇園まつり」が掲載されております。
  特集は、夏の人妻。
  京都の夏を彩る疫病鎮めの祭で再会した男女の話です。

  (*アダルト商品なのでリンクできないから、書店&ネット書店にて検索して購入してね)





  

 同じく現在発売中の小説新潮8月号・特集は「熊猫堂鬼談」に、短編が掲載されております。
  こちらは岡本綺堂の「青蛙堂鬼談」ふうに、ひとりひとりの客が、怪異を語る趣向で……まさに、怪談。
  ちょっと変わった趣向になっておりますので、タイトルは言いません。
  当てて、ください。

  

小説新潮 2013年 08月号 [雑誌]

小説新潮 2013年 08月号 [雑誌]




☆ 大崎善生さんの「ランプコントロール」(中公文庫)に、解説を書かせていただきました。
  ランプコントロールはドイツと日本を舞台にした、ふたりの女とひとりの男の切ない恋物語です。

 


 8月6日に「萌えいづる」(実業之日本社文庫)、8月9日に「女坂」(講談社文庫)と、本が2冊出ます。


 よろしくねん。
  

爪と目・ホテルローヤル

 第149回芥川賞藤野可織さんが、直木賞桜木紫乃さんがそれぞれ受賞されました。

 藤野さんとは怪談イベントで知り合い、私が連載しているメンズナウのコラムにも登場していたきました。
 桜木さんは、昨年出版した「寂花の雫」に解説を書いてくださり、対談もさせていただきました。
 ふたりが受賞すればいいなーとか言っていたのですが、まさか本当に、ふたりともが受賞されるなんて驚き、感激しました。

 知り合いだからというだけではなく、私は藤野さんの作品も桜木さんの作品もすごく好きで、おふたりを作家として尊敬しています。たとえ知り合いだろうが、「いい人」だろうが、作品がつまらなくて評価できなければ、賞なんてとって欲しくない。
 でもこのふたりは、生み出す作品も素晴らしいし、何よりも小説に対して真摯で謙虚で誠実に、全身全霊を注ぎ込んでやってこられた方だと思っています。
 桜木さんの本は全て読んでいますし、藤野さんの作品は単行本になっていないのもほとんど読んでいます。
 
 今回、おふたりの受賞で嬉しかったのは、私が信じているものがこうして評価され、自分まで報われたような気になったからです。
 
 小説は売れないと、言われていますし、実際にそうです。
 私の周りも、小説を読まない人だらけです。
 私の名前だって、誰も知りません。
 そのくせ、小説家になって本が少しばかり売れて、嫌なことやつらいことも押し寄せてきて、やっとられんと思ったこともありました。
 小説家というだけで「印税長者」なんて言われてしまうことがありますけど、実際になってみて、小説だけで食えている人なんてほとんどいないこと、重版でもかからない限りもうかる仕事ではないことや、本を出し続けることの難しさを目の当たりにしました。
 何年も小説家であり続けること自体が、簡単なことではないです。
 他の人はどうかしらないけど、私は小説書くことって、楽じゃないです。
 しんどくて逃げ出したいとしょっちゅう思っています。
 それでも書き終えたとき、本になったとき、読んだ人が喜んでくれたときの幸福感は半端ないし、それなしでは生きてはいけないと今は思ってるから、やめない。いえ、やめられないんです。
 
 藤野さんも桜木さんも、デビューされてから、決してとんとん拍子でやってこられたわけではありません。
 桜木さんは賞を受賞されてから最初の本が出るまでに、5年かかったそうです。
 それでも彼女たちは、何年も小説を書き続けてきたし、そうしないと生きていられない種類の方たちだと思っています。

 私はこの世にあるものの中で小説が一番好きだし、小説で人生を変えられました。
 小説がないと生きていけないと思うし、今でもできるだけ小説を読みたいと思っています。
 小説を読む時間が、一番楽しい。
 そんな素晴らしい小説に、自分がこうして関われていることは、なんて幸せなことだろうと思います。

 藤野さんと桜木さんという「ほんまもん」の人たちが、こうして受賞され評価されたということは、私にとっては希望であり、自分が小説を書き続けることの未来を与えられたような気がしました。 

 芥川賞受賞作「爪と目」、直木賞受賞作「ホテルローヤル」、どちらも好きな作品です。
 是非、読んでください。

 

爪と目

爪と目

ホテルローヤル

ホテルローヤル

補足***

 あるスポーツ新聞系のニュースのサイトで、藤野可織さんの旦那様が編集者だと書かれていますが、これは完全な誤情報です。
 学生時代に知り合われた方で、全く出版とは関係がない職種です。(具体的にどんなお仕事されてるかも私は知ってるので断言できます)
 
  

新連載のおしらせなど

 メンズナウの連載「関西エロ名鑑」UPされました!
  とは言いつつ、今回は諸事情によりインタビューではなく、コラムのようなものを。
  この中にも書いているのですが、団鬼六賞受賞直後に松本和彦さんと交わした約束が、やっとこさ来月に果たせそうです。
  こちらから読めます。
  後輩バスガイドのイラストエッセイつきだよ。


 関西の情報誌「Meets Regional」にコラムの連載がはじまりました。
 7/1発売の8月号からです。タイトルは「Kyoto曼珠沙華」、京都という街の私流の案内です。今月号は京都という街の「女王様」ぶりに言及しながら糺の森を書いています。8月号は我が故郷・兵庫県豊岡市も2p載ってるよ。


 最近のわたくし
  地味に仕事してます。仕事以外、してない気がします。でも結構寝ています。この前は13時間寝ていて、夫がさすがに生きてるのか心配になって様子を見にきました。
 そういえば、先月は怪談仕事が多かったのですが、怪談やホラーを書くとネガティブな感情のデトックスになるみたいで爽快感がある。「怪談デトックスで女子力UP!」おすすめです。女子力UPはしてませんけどね!

  ふと、最近、山田詠美さんの「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」を読み返したり、森瑤子さんの「情事」を読みたくなったりしている。そして文章って技術的なことが出汁だとしたら、飢餓感がスパイスだななんて思ってもみたり。心に残るのは、物語そのものではなくて、物語が発散しているむせ返るほどの飢餓感。
  飢餓感で眩暈がするような小説を読みたくなっている私には、それはあるのだろうか。

  

ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー (幻冬舎文庫)

ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー (幻冬舎文庫)

情事 (集英社文庫)

情事 (集英社文庫)


 最近読んだ本。あと、昔の作家さんのエッセイとか再読してりもしている。
怪談実話 死神は招くよ (文庫ダ・ヴィンチ)パイロットフィッシュ (角川文庫)アジアンタムブルー傘の自由化は可能か (角川文庫)文学問答メンアットワーク―山田詠美対談集 (幻冬舎文庫)孤独を生ききる (光文社文庫)夏の終り (新潮文庫)