時代は、まわる
まわるまわるよ時代はまわる
別れと出会いを繰り返し
今日は別れた恋人たちも生まれ変わってめぐり合うよ
中島みゆき 「時代」
京都でのこの夏の最大のニュースは、四条河原町の阪急百貨店が8月22日で閉店したことじゃないだろうか。
繁華街・四条河原町の中心にあり、待ち合わせのメッカとして知られていた阪急百貨店。すぐ近くには鴨川やら風俗街やら木屋町やら、まるですべての現代の「京都を生きる人々」の風景の源流だったような、そこから流れ出るもの全てのものの母なる場所が、この夏、終わりを告げた。
私は、京都に出てきて、20年になる。田舎の高校を卒業して、たまたま京都の大学に合格し(第一希望の大阪の大学は落ちた)この街、そして阪急百貨店とはそれなりに永い付き合いだ。
30歳を過ぎてから男に貢いだサラ金地獄で生活出来なくなり田舎に帰る際に、ワゴン車に載せられた荷物に埋もれながら去り行く京都の景色を眺めて脳裏に浮かぶのは、ターミネーターの台詞、
「I'll be back」
ただ、それだけだった。
そして4年前にその通りに戻って来て、それからも、その阪急百貨店の前で、何人とも待ち合わせをした。
あの人とも、あの人とも、最初はここで会った。
ここで最初に会って恋に落ちた人もいたし、一番永く付き合った恋人とも何度かここで待ち合わせをした。数え切れないぐらい、ここでたくさんの人と会った。
阪急百貨店が閉店して数日後、その場所を通りかかった。
まだ、何も変わらなかった。あの世界地図も、そのままだった。
この交差点には、私が大学に入学した当初から「河原町の母」と呼ばれる占い師がいた。昔は女性達が行列を連日行列を組んでいたものだ。
今は、もう昔のような長い行列ではないけれど、たまに阪急百貨店の道の向かい側などでお見かけすることがある。少し前、久しぶりに「河原町の母」と話をすることが出来た。
またここで待ち合わせをしよう、既に出会ったあなたと、これから出会うであろうあなた、と。
これからも、ここで会いましょう。
私は戻ってきたのだから、この場所に。
*写真は全て四条河原町界隈・鴨川の景色。