水無月

 京都で一番、季節感を感じるのがデパ地下かもしれない。


 これは「金魚」といいます。水槽の中を泳ぐ金魚。
 井津美屋さんの商品。


 
 そしてこちらは、若菜屋さんで購入の「水無月」。


 京都では、明日6月30日にこの「水無月」を食べます。(明日用事あるから今日食べちゃったけど)

 何故、この日にこれを食べるのか。
 この日は、1年のちょうど折り返しにあたり、この半年の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事「夏越祓(なごしのはらえ)」が各地で行われます。上賀茂神社とか。

 この「夏越祓」に用いられるのが、「水無月」です。水無月は白のういろう生地に小豆をのせ、三角形に包丁された菓子ですが、それぞれに意味がこめられています。水無月の上部にある小豆は悪魔払いの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれています。お店によっては、白い生地だけではなく、よもぎ入り、抹茶入り、黒糖入りなどもあります。

 半年の罪や穢れ・・・ありすぎる。
 祓いたい・・・。
 半年じゃ済まないけど!

 さて、7月は京都では日本三大祭の1つと言われる祇園祭があります。(人多いし、多分誘われでもしない限り行かないと思うけど)
 宵山の16日、宵々山の15日、山鉾巡行の17日だけが「祇園祭」だと思われがちですが、実は7月いっぱいが祇園祭で、7月アタマから行事は行われているんですね。
 祇園祭って何なのかと説明すると長くなりますが、要するに疫病鎮めです。祟り神です。京都はそんな、祟り神とか、怨霊鎮めの神社だらけです。

 7月に入りますと、あちこちで祇園祭のお囃子「コンチキチン」の音が聴こえてきます。四条通りでも、うちの近所のスーパーでも。

 さて、関連あるような、ないような、「水無月」といえば、「恋愛中毒」(著・山本文緒)の主人公の名前です。冴えない中年女の、激しく、苦しい物語。
 私はすごく、この主人公に共感した。ここまでは出来ないけれど、こういうことをしてしまう気持ちがわかる、と思ってしまった。

 私もたいがい「ブレーキが効かない」と言われる。要するに過剰なのだ。相手を殺してしまいがちなほどに。

 私がブログに「好きな男に貢いでサラ金地獄に陥った」話を書くと、女性の反応は、たいてい2種類だ。

「そこまでしないけど、そこまでしてしまう気持ちがわかる」

 と、いう人、

「そこまでする気持ちがわからない。理解できない」

 と、いう人。

 
 溺れて、狂って、周りが見えなくなって、暴走して、もう恋愛なんだか執着なんだか憎悪なんだかわけわからなくなってしまう気持ち。自虐のような愚かな状態。そうならざるをえない気持ち。
 私は深く後悔をしているし、そうなるべきではないとは思うし、他の人がそうなっていると悲しくなるけれど、そこまで人間を壊してしまうことが恋愛にはあるということがわかることとは、何かを表現する上では財産なのだと思いたい。思わなやっとられへんし。思わせてくれよ。これ以上、自分のことをバカだと思いたくないんだ。

恋愛中毒 (角川文庫)

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