京都極楽堂書店 in 清水寺


 私は自分へ平凡で地味でこそこそと「生まれてきてすんまへん」と思いながら世界の片隅で壁際に張り付いて生きている人間のつもりなのですが、人から見るとどうもそうではないらしい。
 思いがけず妙な出来事に遭遇する時に、「う〜ん、もしかして私って何か変な人や変なモノを引き寄せる力があるのかしら」と思うことがあります。
 友達は本当に変な人が多いしね・・・・
 だけどそれは私が「変なモン」を好きだからなのね。変で、オモシロいモンが好きで、とっとこと惹かれてそっち言っちゃうからなのかもね。

 さてさて、修学旅行シーズンで明けても暮れてもお仕事三昧です。私の本業はバスガイドさんなので、毎日笑顔で爽やか(?)に白い手袋をはめてマイク片手に「皆様〜右手を御覧下さい〜」などとやっております。
 
 先日もそんなふうに中学生を連れて清水寺へ行っておったんですね。清水寺というところは、京都で一番観光客が多く訪れるところなんですって。いっつもすごい人。しかも今、御本尊御開帳中。
 生徒さんを連れて清水の舞台まで案内して、あとはお買物の自由時間ということになりました。
 結構な時間があったので、参道をぶうらぶうらしておりましたところ、「変なモノ」を見つけました。

 「変なモノ」が京都の五条坂に昨年出来たことは知っておったのですよ。なんかネットで偶然見つけたのかな。それがこの「京都極楽堂書店http://kyobase.com/です。HPを御覧下さい。
 妖しい・・・ 変・・・
 お二階が写真家・映画監督の蜷川実花さんの写真館。なんで京都に蜷川実花さんの写真館なの? と、不思議に思いながらも、いつか行こうと思いつつ、すっかり忘れておりました。
 そして、ふと、ぶらぶら時間を潰している時に、「京都極楽堂書店」の看板を見つけて、「あら、ここにあるんだー、思いっきり観光地やん」と思い、足を踏み入れてみたのです。

 いきなり、「毒まんじゅう」の文字・・・
 京都極楽堂書店のオリジナルのまんじゅうです。こちらの紹介記事を御覧ください。http://www.asahi.com/kansai/photo/news/OSK200905010016.htmlもう、見かけも本当に怪しい。つーか「毒まんじゅう」なんで、元自民党の幹事長の野中さん関連かと思っちゃったよ。
 いかにも怪しいビジュアルのまんじゅう、どうしようか迷いましたが、そら買いましたよ。バスガイドさんはね! 好奇心を持たないといけないの! 

 そして店内・・・・・


 妖しい・・・


 原色と、天井の妖怪の絵、そして本のセレクトが、京都・仏像・三島由紀夫渋澤龍彦春画伊藤若冲、エロ・・・・
 永沢光雄さんの「AV女優」の文庫版、そしてひっそりと置かれているのは団鬼六先生の「花と蛇」のDVD・・・杉本彩ではなく、日活ロマンポルノの谷ナオミですよ! 杉本彩ではなく谷ナオミってところがポイント! 

 妖しくて、あんまりにもの私好みのセレクトに悶絶しておりました。そして二階の蜷川実花写真館に上ると、それはそれは「おバカ(褒め言葉)で、エロでキッチュな、つまりは可愛い絵」(なんか奥村チヨの歌世界みたいだ)が。
 「さくらん」も観ていないし、(原作は読んだけど)、蜷川実花さんの写真って今までちゃんと見たことはなかったのですが、こういう奥村チヨ的な「かわいい」写真なんですね。なんだか昭和歌謡曲チックですんごいよかったです。これも好み。

 そして再び一階に降りて本を見ていました。
 バスガイドの仕事中だとはいえ、欲しい本だらけでして、我慢出来ずに三冊レジに持っていきました。(歴史学者奈良本辰也先生の本なんて今手に入らないんだもん)「エロ本のほん」ってムックとか・・・

 いえね。
 わたくし、本名のバスガイド&社長秘所の自分と、エロライターしたり下ネタばっかり話す「藩金蓮」とはきっちり線を引いてわけてるつもりなんですよ。
 バスガイドの制服着て本名の名札つけて生徒を待っている時間にエロ関係の本を買うのってどうよと思ったんですが・・・

 欲しかったんだもん!

 そしてレジに本を持っていきました。そうするとレジにいらっしゃった方が、「エロ本のほん」を見て、

「この本面白いですよー」

 と、おっしゃったんですね。

 で、私もね。ヘタレなもんで、なんせバスガイドの衣装着用中で仕事中なもんで、こそこそと言い訳をするわけですよ。

「あの、、私、エロ関係のライターなんで、資料にいい本がたくさんあるなぁと思って・・」

 とか。


 ぎゃあ。

 もっと堂々と胸張って生きろよ! 藩金蓮!
 資料にもなるけど、趣味だろ! 趣味! ただ単にエロが好きなんだろ!


 まあそしたら、レジの方(店長の月澤さん)が、

「どんな関係のエロなんですか?」

 と聞かれたので、

「あ、アダルトビデオの・・・」

 と答えたわたくし。

 そこからお話が盛り上がりまして、「AVは文化だ!」とか意見が一致しましてね。

 はい。

 そして月澤さんは、アーティストでありDJなどもされている多彩な方なんですが、なんとおうちがお寺で、僧侶なのです。帽子をとられると、しっかり「僧形」でございました。

 家帰ってからmixiの「京都極楽堂」のコミュを出して、そこからマイミクになっていただいたのです。

 それにしてもね。
 修学旅行生だらけの清水寺で。
 仕事中に。
 エロ(AV)ライター兼バスガイドのわたくしが。
 AV好きな僧侶と出会い、(月澤さんは爽やかなイケメンですよ)
 AVの話で盛り上がるって。


 変な出会い。変な空間。
 あの変で妖しいスペースがそうさせたのか。

 
 これが「今昔物語」などならば、「清水寺の観音様の思し召し」などと書かれるでしょう。
 いや、ホント、そうかもね。清水の観音さん、また観にいったよ・・・これで何回目なんだろう・・・嗚呼・・・素晴らしい・・・

 「藩金蓮」じゃない、本名で仕事をしている時に、AVの話を誰かとするって今まで無いことなので、不思議な感じでした。
 そしてそのあと、また爽やか(?)に中学生達を向かえ、寺に行き、駅に送ったわたくしでした。

 京都というところには「変なモノ」が多いです。なんせ昔から魑魅魍魎が跋扈する土地なので。妖怪関係のイベントとかも多いしねぇ。そして私が京都に住み、京都を描き続けるのもその京都の「変なモノ」が好きだからなんですよ。

 みなさまも是非、清水寺にお越しの際は、「変なモノ」を見に、毒まんじゅうを食らいに「京都極楽堂書店」へお越しください。
 妖しいから。
 ほんまに妖しいから。

 でも妖しいもんとか、やらしいもんて、好きやんねぇ。