るーみっくわーるど、京都参上

hankinren2009-05-05


 小学校、中学校の時の文集の「将来の夢」の欄には、いつも迷わず「漫画家」と書いていた。それ以外は考えられなかった。
 大学に入った当初、一度だけ漫画の投稿をしたことがある。しかしそれから精神的な暗黒期に入り大学にも行かなくなり漫画を描くこともしなくなり、将来は結婚して主婦になるか公務員になるかとにかく安定した平凡な人生を送ろうと思い始めた。
 そんな堅実志向だったはずが、どこでどう間違ったか、安定とも平凡とも縁が無い、どっちかっつーと波乱万丈な人生を送るハメになった。そして今は一応の職にはつきながらも、細々と文章修業などをして生きている。
 いつのまにか、漫画をほとんど読まなくなった。
 昔はあれ程読んでいたのに。

 親が小さな店をやっていて、そこで売られている漫画雑誌を全て読むことが出来たのと、祖父の弟の長女が漫画好きでありとあらゆるジャンルの名作漫画を揃えており、夏休み冬休み春休みはその家で漫画三昧の日々だった。彼女は後に東京でアニメーターとなったが、若くして病気で亡くなった。

 何で漫画を描かなくなったか。
 それは、めんどくさいからです。私は女の絵しか描けないので、男の絵や、背景を描くことが苦痛だった。
 何で女の絵しか描けないのか、それは、きっと高橋留美子先生の絵の模写ばかりしていたからです。

 現在、京都駅の伊勢丹デパートの七階で開催されている「高橋留美子展」に行ってまいりました。連休のせいもあるでしょうが、すごい人で、すし詰め状態でした。

 「うる星やつら」「めぞん一刻」「らんま1/2」「犬夜叉」を中心に、カラー原画や生原稿、そして原哲夫吉田戦車安野モヨコ池上遼一あだち充花輪和一細野不二彦などなど、名立たる漫画家達の描いた「ラムちゃん」が展示されており、高橋留美子グッズも充実しておりました。
 シャープペンと、限定ピンズ買っちまった。ラムちゃんピアス、すんごい欲しかったけど、五千円するので断念・・・

 「北斗の拳」の原哲夫先生の描かれたラムちゃんは、なんか凄かったです・・・
 名立たる漫画家さん達の「ラムちゃん」の絵には、それぞれの先生方の「うる星やつら」によせる想いなどが寄せられたおりました。
 それを読むと、私と同世代の漫画家さん達数人は、小学生の頃、うる星やつらのキャラクター達を何度も何度も描き、それで絵が上達したと書かれており、私と同じだーと思いました。
 私はとうの昔に漫画を描かなくなり、今は友達に頼まれた時にイラストを描くぐらいなのですが、小学生、中学生の頃はとにかく広告、カレンダーの裏、らくがき帳、とにかく白い紙全てに「うる星やつら」の女性キャラの絵を描いていた。
 小学校の頃、年賀状にラムちゃんの絵を描いたので、バカな一つ上のクソガキに、「こいつ、女の水着姿の絵を描きよる、やらしいヤツ」とか言われて泣いたことを覚えている。
 ストーリーは勿論だけれども、高橋留美子先生の「絵」には、人の創作意欲を沸かせるような力があったのだなぁと、漫画家さん達の絵とコメントを見て今更ながら気付きました。

 「高橋留美子展」のカラー原画を見ていると、当時見た覚えがあるものばかりで、絵を描くことにとりつかれていた子供の頃の感触を思い出し不思議な気分でした。
 しかし今見ると、シンプルながら色っぽい線で描かれた女性キャラは色あせることなく魅力的です。
 そうなのです、今回初めて気づいた。私がこの絵に惹かれていたのは、色っぽさなのだと。女性の身体の柔らかさを描いたこの線に憑かれて絵を描いていたのだと。

 そういえば、つげ義春を読んだきっかけも、妖怪や鬼に興味を持ったのも「うる星やつら」がきっかけだった。
 「うる星やつら」「めぞん一刻」と併行して描かれたいた「炎トリッパー」や「人魚シリーズ」を始めとして沢山の短編も好きだった。
 しかしながら「らんま」や「犬夜叉」の頃は、私がちょうど漫画離れを始めた頃だったので残念ながらほとんど読んでいないのです。

 そうやって絵を描きながらも、昔はラムちゃんのことがあんまり好きじゃなかった。嫉妬深いし、しつこいし、感情的な女だなぁと思っていた。
 時を経て私はラムちゃんどころじゃない嫉妬深く執念深く感情の起伏が激しくしかも可愛くない女になる。そうすると、何故かラムちゃんの感情表現の素直さが好きになっていた。
 めぞん一刻の響子さんに関しては未だに好きじゃないし、とにかく男受けする女だなぁとは思うけれど、最終回では何度も読み返して泣いたし、今なら響子さんの頑なさと想いを抱き続ける辛さと強さが少しはわかるようになった。

 色っぽい絵や、色っぽい文章が好きだ。媚から発する色気ではなく、艶のある絵や文章が好きだ。
 忘れていた絵心が、ちょいと復活した気がした。

 先日、ある人に「どうしてそんなにエロ関係が好きなの?」と聞かれて、

永井豪先生のせいだよ!」

 と答えたのですが、(小学生の頃、『けっこう仮面』で目覚めました)永井豪先生だけではないです。
 高橋留美子先生から、今現在AVが好きなのも、どこかで全部繋がっているようです。
 仕事が落ち着いたら(夏になるけれど)、高橋留美子一気読みがしたくなりました。するぞ。随分と読んでいないし、「うる星やつら」と出会って(つーか、デビュー作の『勝手なやつら』が掲載されたのも覚えてる)随分と時間が経ったので、どんなふうな感想を自分が持つか、それも楽しみなのです。

 京都での高橋留美子展は、5月17日迄ですが、その後、名古屋、北九州、高松でも開催されます。

 あと、京都駅には「手塚治虫ワールド」もあるのですが、今、伊勢丹前の広場で手塚治虫水木しげるコラボの「鬼太郎&アトムグッズ」などもありますのでお好きな方は是非どうぞ。
 このアトムと鬼太郎の組み合わせってのが、意外にめちゃめちゃ可愛いので、もっといろんなモノ出して欲しいです。京都限定アトム土産などもあります。