夏・音・遊・楽  〜丹波篠山デカンショ紀行〜

hankinren2008-08-17




T「え〜っ、丹波って京都じゃないんですか?」

私「丹波兵庫県ですっ!」


 駅で待ち合わせして反対方向(京都・滋賀方面)への電車に乗ろうとした天才的方向音痴の友人で歌手のT君を引っ張って、15日は兵庫県丹波地方の篠山市へ向いました。

 JRの「関西夏休みパス」というトクトク切符を使って行ったのですが、これお得ですよ。期間限定ですが、指定した日のみ2000円で特定区間は乗り降り自由なのです。福井県敦賀市やら兵庫県相生市やら和歌山市やら結構範囲が広いです。特急電車では使えません。
 青春18きっぷ区間の制約は無いんですが5回分を一枚でしか販売してないので(金券屋にあるけどね)それぞれをニーズに合わせて活用するとすんげぇお得。他にもいろんなトクトクきっぷがありますよ。
 少し前に滋賀県高月町滋賀県でも相当福井寄り)に行った時もこの夏休みパスを利用しました。ちなみに京都〜篠山口間は片道が1890円、往復やと3780円。日帰り旅行なんで、関西夏休みパス使って3780円が2000円でいけちゃうと、1780円のお得なわけです。ほんで関西夏休みパスには様々な施設での特典もついておりまして、今回参りました篠山の「大正ロマン館」でも上記の画像のキツネのストラップを頂きました。施設によっては割引特典も多いので、詳しくはまたJRのHPなどをご覧になって下さい。駅などでパンフレットも置いております。

 T君は篠山は京都府だと勘違いしておったのですが、兵庫県って端っこの都道府県(青森とか山口とか)以外で唯一2つの海に面している県で縦に長いんですね。私も生まれは兵庫県なんですが、兵庫県と言っても言葉も気質も文化も随分違います。よく兵庫県出身ですというと、「地震大丈夫でした?」と聞かれることがあるんですが、兵庫=神戸というイメージがあるみたいですね。ま、愛知=名古屋みたいなもんか。京都も京都市内と日本海側の丹後地方とでは随分違うしな。
 
 8月の15、16日に篠山ではデカンショ祭」という大きなお祭りが開催されます。「デカンショ」の由来には諸説ありますが、「デカルト」「カント」「ショーペンハウエル」の略だという説もあったりします。
 篠山は大阪から実家帰る時にいつも通過するし、地元からも車でちょいと行けるところなんですが、街をちゃんと見るのは初めてでした。地元でバスガイドしてる時にお客さんをPick Upしたりとかはしてたけど。あと、大阪方面から天橋立や城崎方面に行く際には中国自動車道路→舞鶴若狭道路と高速道路を使うんで、その際にガイドはしてる。
 私は今まであたったことは無いんですが、旅行のコースで「城下町篠山散策」というのはわりとあるんで、1度行っておかななぁーと常日頃から思っておりました。おススメの場所とかお土産とかも情報だけではなく、肌で知っておかな喋りにくい。

 そして今回はライター東良美季さん(そもそも私が文章を書き散らすきっかけになったのはこの方との出会いです)が、友人達と催される「夏の兄弟達」のライブが篠山の「大正ロマン」(大正12年に建てられた旧篠山町役場)の中庭で開催されるということで、友人で歌手のT君と一緒に行ってまいりました。
 
 前日ぐらいまで天気予報は雨で心配しておったのですが、終戦記念日の当日は見事なぐらい晴れておりました。日焼け止め塗って日傘差して手袋した「どっからどう見てもオバハン」な私・・・日焼け嫌いやねんもん・・・6月に腕に日焼け止め塗り忘れて仕事したら水ぶくれ出来て大変やってん・・・

 JR篠山口駅で降りて観光案内所でパンフレットを漁り(バスガイドやから資料集めしてんのよ)バスで市内中心部へ。日帰りとはいえ小旅行でわくわくするT君と、「仕事以外でこういうところに来るのが嬉しい・・・・」とニヤニヤするエロ子オバハン。

 「仕事であちこちいけていいねー」とよく言われるのですが、確かにええんやけど仕事やといろんなことに気を回さなアカンし楽しみに没頭できひんねん。やから仕事以外で旅行とかするとホンマ幸せ感じますねん。

 そして市街地で篠山の名産などを見て「仕事以外で土産モン屋来るの楽しい・・・」とニヤニヤしつつも、仕事で来た際に何を勧めたり、どんなふうに話をしようかということを考える職業婦人な私を誰か褒めてっ!!(こうして自分に酔う) っつーか、職業病やんね・・・どっか行ったらまず大型バスの駐車場とかトイレの場所をチェックするのも・・・
 
 ちなみにこの辺りの名物は何と言っても黒豆です。お土産物も黒豆を使ったものが主です。あと日本六古窯(古くから伝わる6地方の焼き物)の一つでもあります丹波立杭焼、猪を使ったボタン鍋なども有名です。あと丹波大納言という小豆の品種も有名ですね。

 京都の和菓子は日本一! やと思うのですが、何故京都の和菓子はそんなにレベルが高いのか。それは古くからお店が競って朝廷や貴族に献上してきたからです。そしてそのレベルの高い上品な甘さの京菓子と、丹波地方で採れた丹波大納言が関係があるということは言うまでもございません。T君が丹波を京都だと勘違いしていたのはありえんことでもないわけで、兵庫県というのはお腹の出たタツノオトシゴみたいな形をしていて、その出たお腹の京都と隣接している部分が丹波地方なのですね。

 それと神戸の灘の酒って有名ですよね。白鶴とか菊正宗とかの有名な日本酒メーカーが神戸にはあります。灘で酒が発展したのは様々な条件が揃っていたからなんですが、丹波地方から「丹波杜氏」と呼ばれる日本酒製造の職人集団が出稼ぎにきていたからというのも理由の一つです。

 「黒豆パン」はサービスエリアなどでも人気の商品です。せっかくなんで、私とT君は土産物屋で試食しまくったり黒豆コロッケやら黒豆パンや黒豆ソフトクリームなどをいただいておりました。激しくおススメされてた大正ロマン館の最中アイスもホンマに美味しかったです。旅先では現地のモノを食べるのが基本すよ。

 篠山は城下町です。デカンショ祭のメイン会場でもある篠山城にも行ってまいりました。篠山城は、徳川家康山陰道の要所であるこの地に慶長14年(つまりは関ヶ原の戦いの一年前ね)に大阪城豊臣氏)と西国大名監視の為に作らせたお城です。普請奉行は姫路城主で名君と謡われた池田輝政、縄張りは築城の名手と言われた藤堂高虎。このメンツを見たら、いかに家康がこの篠山の地を重要視していたかわかります。天守閣は築城当時から無かったみたいですね。確かに相当強固そうな石垣でした。

 ついでに書きますけど、篠山から北へ行くと現・丹波市春日町。こちらは徳川三代将軍家光の乳母である春日局の生まれた黒井城があったところです。春日の局の父は斎藤利光利光の遣えていた明智光秀が整備した城下町がここより北の京都府福知山市です。

 ライブが始まるまで時間があったのでT君と街を散策。観光客っていいなぁ・・・・

 そしてぼちぼちとリハーサルが始まりそうなんで、大正ロマン館の中庭へ。ホンマにええ天気やったんで空が真っ青でした。T君は「気持ち良過ぎて寝てしまいそうです〜」とほげぇ〜となっており、私もほげぇ〜としておりました。
 私も彼も最近個々の事情で自己嫌悪に陥り相当行き詰っていたもので、行きの電車の中でもそのことについて話していたんですが、青い空の下で音楽を聞きながら二人でほげぇ〜っとして、

「なんでもありでええんやないですかぁ?」
「そうですねぇ〜」
「何にせよ私ら幸せもんですよー、与えられた場があるんやし〜」
「謙虚な気持ちで基礎から頑張ればいいことなんですよね〜」
「出来ないと落ち込む以前に、努力せなあきませんよねぇ〜ちょいと傲慢になってましたよねぇ〜」
「そうですよね〜」
「あんまりお互い思い詰めて落ち込まないように楽しくやりましょうよ〜」
 
 とかほげぇ〜と会話しておりました。

 東良さんも皆さんも楽しそうで、改めて「音楽」というのは「音を楽しむ」ことやなぁと思いました。
 私は疎いんですが、さすがにT君は演奏されたいろんな曲を知っておりました。
 私とT君がついつい下ネタ話してたら東良さんに「ここでは下ネタ禁止!」って怒られたけど・・・えへっ。

 そうしてるうちに段々日暮れてきて、ええ感じになってきて更にほげぇ〜となる私達。のどかでええよなぁ、と。
 地方=のどか、では無いのねん。うちの実家なんてここより更にグレート田舎やけど、あんまりのどかさ感じひんもん、私は。地元民だからかもしれんけど。

 ほげぇ〜とするのは必要だよなぁ。隣に居るのが思いっきり気をつかわないT君ってこともあるんやけど(実はもの凄い人見知りさんで警戒心強いんで自慢やないけど人付き合い悪いです)普段結構キツキツで気を張ってますもんで(特に最近は)あー私って疲れてたんだなぁーと思ったり。
 なんか、「夏休み」だなぁとしみじみ思いました。休んでる私。


 花火の音が聞こえる頃にお開きになりまして、篠山を後にいたしました。
 
 あと、東良さんが私のことを「『猫の神様』の最後の方に登場する藩金蓮さん」と他の方に紹介されてたんですが、以前友人の一人から、
「あの本と新潮社の期間限定の「猫の神様ブログ」だけ読むと、上品で知的であなたじゃないみたい!」

 と言われたのです。
 しっかり「猫の神様」(書評はこちら)にサインを貰ったT君とその話をしていて、私が、

「でもあれだけ見た人が、実際に私のブログとか読んだらイメージが違うって驚くかもしれませんね」

って言うと、T君は、

「でもあなた知的ですよ」

 と言ってくれるんですが・・・

「上品とは言ってくれないんですね・・・」

「私、嘘は言えません!」

 と強く断言するT。それは・・・下品って言いたいんやね・・・。ちなみにT君は「猫の神様」の私が登場するシーンで大爆笑したそうです。あの・・・そこは笑うシーンやないからっ!!


 とか言いつつ、ほげぇ〜とした良い夏休みでした。
 そうだよなぁ〜音を楽しむと書いて「音楽」だよなぁ〜。
 楽しまなアカンよな、なにごとも。仕事も遊びも恋愛もっ! 人生楽しまな損や。何せうぞ くすんで 一期は夢や、ただ狂へ、おもしろきこともなき世をおもしろく、だよなぁ。

 東良さん、「夏の兄弟達」の皆様、ありがとうございました。楽しかったです。
 ほげぇ〜〜〜っ。
 ほげぇ〜〜〜っ。


 ほげぇ〜っとしたまま、昨夜は毎年行ってる「五山の送り火」(大文字)も行きませんでした。家で吉川英治の「新平家物語」を読んだり、寝たり、ダラダラと。掃除とかせなアカンねんけど、今日もほげぇ〜〜っ。
 今日で夏の休暇は終わります。明日からお仕事始まって、秋には猛烈にガイドさんしまくって、あれもこれもいっぱいいっぱいに抱えながら、ほどほどにほげぇ〜としつつ楽しくやろうっと。
 ほげぇ〜〜っ。

 関西夏休みパスの特典で、大正ロマン館で頂いた写真のキツネの「必勝祈願」御守にいたします。
 勝つよ、私もT君も。
 楽しみながら、勝ちたい。