凛々しくそそり立つ竹

 かぐや姫の話を知らない人はおられないと思います。もともとは「竹取物語」。日本最古の物語だと言われています。

 竹から見つかったかぐや姫。美しい姫は、いろんな人に求婚されますが、彼らに無理難題をふっかけます。結果、誰とも結婚しなかった姫は、ある日、おじいさんとおばあさんに自分は月の住人であること、もうすぐ月に帰らなければいけない事を告げます。みかどは、かぐや姫を月に帰さないように、警護の武士達を配置して抵抗しますが、月からの使者達の力には叶わずに、かぐや姫は月に帰ってしまいます。


 以上が、私が子供の頃に絵本で読んだかぐや姫の話ですが、実際の「竹取物語」は、これで終わらないのです。かぐや姫は、月に帰る時に、おじさんと、おばあさんに、ある薬を渡します。「おじいさん、おばあさん、これは不死身になる薬です。いつまでも長生きして下さい。」と。そしてかぐや姫は月に帰ってしまいますが、おじいさん、おばあさんは「かぐや姫のいない世の中で、長生きしても何の意味もない。私達の想いが届くように、この薬を、この国で一番高い山の上で焼こう。」と思いました。

 それを聞いたみかどは、その薬を、おじいさんおばあさんの願い通りに、国で一番高い山の上で焼かせました。薬を焼いた煙が、高く、高く舞い上がって、想いが月にまで届くように、と。そして、その山は、不死の薬が焼かれて、いつも煙が出ているので、「不死の山(富士の山)」と、呼ばれるようになったということです。


 愛する人のいない世の中では、生きていても意味が無い。最後のエピソードは、切ない話だと思います。このラストシーン無くして、この物語は語れないと思うのですが。かぐや姫が月に帰って、さようなら、では、なんかわけわかんない話で終わってしまいます。もともとなんかわけわかんない話ではありますが。



 福井県丸岡町、「越前竹人形の里」http://www.takeningyo.com/という観光施設があります。(HPの中のeショップのコーナーで、たくさんの竹人形が見られます)竹林に囲まれたこの施設では、食事もできるけど、しなやかな竹で作られた、たくさんの竹人形、竹細工が販売していますし、工房の見学もすることが出来ます。


 最初に竹人形を見た時、その直線で構成された立体のしなやかで凛々しい美しさに、おおっ! と思いました。竹の香りも芳しいですし、すっくと硬質の存在を示す竹人形。竹って、こんなに美しいものかと思いました。

 福井県の花は水仙です。冬になると越前海岸沿いに水仙の花が咲き誇ります。竹で作られた水仙が、私のお気に入りです。越前竹人形は、水上勉さんによって小説もなっております。

 ここは、オリジナルのお土産もいいです。HPには載ってないと思うんですが、「ちべてぇ〜の」という笹ミルク餅は大人気でした。そして、これはHPに出てますが、「酒々しぐれ」(ささしぐれ)。「北ノ庄」という吟醸酒を使った、酒まんじゅう。この品のある甘さは、私が知る限りの酒まんじゅうNO.1。冷やして食べます。他にも、竹炭豆(食用の炭にくるまれたピーナッツ、黒いうんこが、たくさん出ます。便秘の方にお勧め)、笹うどんなど。



 さて、ゲイの友人T君が、観賞用の小さい竹を購入した時のこと、こんなメールが来ました。


 「竹は、男性自身のようです。触ると落ち着きます。」


・・・・・そうね、節があって、手に吸い付くような感触で、ついつい握っちゃうわね・・・


 それを聞いてから、京都嵯峨野の竹林見る度に、この越前竹人形の里に来る度に、竹を見ると、「男性自身のよう」というT君の言葉が頭に浮かぶようになりました。竹林を見る度に、無数の男性自身がにょきにょきと凛々しくそそり立つ光景が浮かぶ、、、、って、さすがにそれは無いですけど。



 と、すると、かぐや姫は、男性自身から生まれたのか? 数多くの男性の求婚を振り払い、鉄壁の処女のままで、月に帰ったかぐや姫。そう考えると、何か意味ありげだったりします。(明らかに考えすぎ)


 そういえば、越前の花、水仙といえば、ナルシストの語源になった、ギリシャ神話のナルキッソスが姿を変えたものといわれてます。T君以上のナルシストは、私は知らないけど。この人は、仕事場で上の人に怒られたら「やはり私が美しすぎるからねたまれているんでしょうか!」とメールをよこします。大真面目です。
 彼からの郵便物には「美しすぎるTより」と書かれているほどですから。彼のように、生きたい、、、、、ような気もします。



 越前竹人形の里、もし近くまでこられることがありましたら、一度どうぞ。竹の香りに包まれたしなやかでまっすぐな竹人形の数々は、一見の価値ありです。近くには芦原温泉とかもありますしね。



 ほんと、竹って、男性自身のようで、雄々しくて、すてき、、、、(嘘だってば)