桔梗の女・前編


 その夜は寝所に入る前に見上げた月に赤みがかかっていた。気味が悪い月だ、と鬼神と呼ばれた男にしては珍しく胸騒ぎを感じながら床についた。
 夜半に異様な気配で信長は目を覚ました。宿舎としている本能寺の周りが騒がしい。寝所に足音が近づき家臣森蘭丸の声がした。

「殿、謀反でございます!桔梗の紋の旗印が見えまする!」

 桔梗の紋は、明智の紋。


「光秀か、是非もなし。」


 信長は弓矢を手にして応戦するが力及ばず自刃する。織田信長49歳。魔神は京都本能寺で家臣明智光秀の裏切りにより紅蓮の炎の中でその怒涛の生涯に幕を下ろす。

 信長を討った明智光秀は、その12日後に備中から引き返してきた羽柴秀吉により京都と大阪の境にある大山崎で破れ居城の近江坂本城に逃げ帰ろうとしていたところを山科の小栗栖で土民の槍に刺され殺されたと伝えられている。


 話は本能寺の変より数年さかのぼる。

 京都の南の勝竜寺城に住む大名細川忠興のもとに嫁御寮が来た。この嫁取りは都で大層な評判になっていた。嫁ぐ女の名前は、玉という。父は明智光秀。世に類稀なき美女だという評判であった。年齢は忠興と同じ16歳。

 忠興は婚儀の席で初めて玉の姿を見た。噂には聞いておったが、これほどとは。忠興は言葉を失い、ただ食い入るように玉を見つめた。忠興だけではない、その場にいた全員が魅入られた。隣にいた忠興の父・細川幽斎もが息の呑むのがわかった。忠興は、一瞬、父とその場にいる家臣全ての眼を塞ごうとさえ思った。

 その夜、忠興と玉は夫婦となった。そして忠興は玉に狂った。

 玉は城の一番奥の部屋に住まわされ、外出を禁止された。玉の部屋には夫の忠興以外の男は一切足を踏み入れることがない様に命じられた。玉は、事実上監禁されながら暮らすこととなった。

 忠興は、玉が男の目に触れる事を、玉が自分以外の男の姿を見る事を禁じた。

 玉は美しいだけの女では無かった。知的好奇心が旺盛で理解力があり、建仁寺の高僧から禅の講義を受けた時「これほどまでに理解力があり明晰な答えを出す者をいまだ見た事がない」と言わしめた。主に儒教と禅学に造詣を深めた。

 また玉は美しく聡明なだけの女ではなかった。こんな話がある。忠興と玉が朝餉をとっている時に、忠興は向こうの棟の屋根に登った屋根師がこちらを見ているのに気付いた。屋根師は、玉を見て驚き足を滑らし落ちてきた。忠興はすぐさま走りよりこの屋根師の首を刀で刎ねた。
 他の男が、玉を見る事は許せない。玉に、欲情する事は許せない。
 忠興は、振り返って玉を見た。玉は目の前で屋根師の首が刎ねられたのにも関わらず平気な顔で朝餉を食べ続けていた。そしてその血が滴る庭師の首を、玉の眼の前に置いた。それでも玉は平然としていた。

「そなたは、蛇か。」

 忠興は、言った。

「罪の無い者の首を刎ねたあなたは鬼でしょう。鬼の女房には蛇がお似合いでしょう。」

 忠興を見上げた玉の眼には、激しい怒りの炎が籠もっていた。

 ああ、この女は。このように怒りを込めた目でじっと俺を見る時、あるいは悲しみに耐えるように表情を強張らせている時が、一番美しく艶かしい。笑う顔よりも、眠る顔よりも。
 忠興は生首を目の前にして怒りと悲しみを湛えた目で自分を睨む妻に欲情した。

 玉の父、明智光秀本能寺の変で主君信長を討った。この日から玉は逆臣の娘となった。玉の母や妹達は光秀の居城の坂本城で皆自害した。細川家の家臣達は皆、逆臣の娘を離縁、もしくは自害させるようにと忠興に進言した。細川家を守る為に。しかし忠興には玉を離縁する事も殺す事も出来ず、玉は丹後味土野峠という山奥に幽閉された。そこでも忠興に命じられた者達により、一切の男の目に晒すなと厳しく警護された。

 この時、玉は侍女糸女(洗礼名マリア)により「イエス・キリスト」という異国の神の存在を知る。

 2年後に秀吉の命により玉は忠興の元に帰された。どうせ戻っても私は城に閉じ込められる生活だ、これでは山奥にいるのと変わらないと思ってはいたが、それでも玉は忠興が恋しかった。
 自分に対する執着や他の男に対する嫉妬は異常なものがある男だ。しかしそれも全て自分に対する思慕の強さだと思えば我慢が出来ないこともない。玉は、忠興に会いたかった。忠興が恋しくて身も心もたまらなかった。

 玉を迎えた忠興は歓喜し、その夜は激しく狂おしい夜だった。玉は2年ぶりの夫の愛撫に全身の毛が逆立つほどの喜びを感じ、狂った獣のようになった。しかし玉は知っていた。自分が不在にしていたこの2年間に忠興は数人の側室を置いていて子供までをももうけていた事を。

 戦国の世の習いであるから大名が子孫を増やす為に何人も妻を持つ事は当時としては当然の事だ。玉も、そう思って受けいれられる事ができたらよかったのかも知れない。
 しかし、学問を持ち聡明で強い自分の意思を持つ玉は、世の常識より自分の理性で物事を判断する女だった。私を、あれほどまでに好いていると言ったのに、私がいなければ生きていけないとまで言ったのに、私以外の女は女ではないと言っていたのに、他の男に一切私を近づけぬようにと閉じ込めているのに、私以外の女に欲情などしない、お前は特別なのだと言っていたのに。なのに、夫は、他の女を抱いていたのだ。他の女に欲情していたのだ。

 玉はその事の矛盾に苦しんだ。汝、姦淫するなかれとイエスは言う。夫は私を愛しているから故に私を閉じ込めていたはずなのに、何故にどうして他の女を抱いて私を苦しめるのか、愛している筈の妻を苦しめるのか。
 父の光秀は生涯一人しか妻を持たなかった。妻の伏屋は、痘痕面で決して美しい女ではなかったけれども光秀は妻をいつくしみ、傍目で見てもお互い労わりあう仲の良い夫婦だった。玉はそんな両親を見て育った。夫が妻を愛し労わり、妻が夫を愛し労わり仲睦まじく穏やかな夫婦。それが玉の理想の夫婦像だった。
 それなのに、自分の夫は何故に私以外の女が必要なのか。私は夫以外の男など必要とする筈がないのに、何故私を信じずに、ここまでして私を閉じ込め、近づく人間を殺すのだ。

 私を本当に愛しているのなら。
 私を信じて欲しい、私を外に出して欲しい、私の悲しむことをしないで欲しい。

 玉はますますキリスト教に傾倒する。その頃、世は秀吉によって切支丹禁止令が出されていたのにも関わらず、糸女により洗礼を受けた。洗礼名は、伽羅奢。細川ガラシャとなった。

 忠興はそれを知り激怒した。玉の側に仕える侍女達数人の鼻を怒りのあまりそいだ。玉はそんな夫を冷たい目で見ていた。この人は、禁止令が出ているキリスト教の洗礼を受けた事に激怒しているのではない。天主様、キリストという自分以外の男に私が近づく事が許せないのだ。

 それでも私は、この男が恋しい。例え他の女を抱いていても、異常な妬心を持っていても。それは、あの事があるからだ。この男と私が交わる夜、私は一匹の獣になる。気が狂いそうになるぐらいの喜びを感じる、このまま死んでもいいと思うほどの。私はこの男を激しく求めて、この男も私を激しく求めて、お互いの欲望の隙間が無くなり身体が融けていく。蛇と鬼の交わり、それは地獄絵図のようだ。
 自分は淫婦だと思う。ずっと夜も昼も、その事ばかり考えて、その事が頭から離れない。そればかりを考えて虚ろになる私は罪深いと思う。喜びを感じれば感じるほど、夫を求めれば求めるほど底なし沼のような欲望の果てに恐怖を感じ、罪悪感で身もだえする。だから、天主様に祈らずにはいられない。底なし沼のような果ての無い欲望に身も心も支配されている淫婦は、このままでは地獄に堕ちる。

 父と母のように穏やかな夫婦になりたかった。お互いだけを見つめて労わりあうような夫婦に。なのに、私と夫は、どうだ。穏やかなどという言葉とは無縁だ。
 二人で居る時はひたすら交わることばかり考えて無意識に身体を近づけ合う。離れている時も、私はずっと欲しがっている。夫は他の女を抱き私を痛めつけ、私は私の存在そのもので夫を痛めつける。そうして痛めつけあいながらも交わらずにはいられない。私達は、お互い針のような棘を持つ野獣のようだ。近づけば近づくほどその棘で相手を刺してしまう。そしてその痛みが更に身体に喜びを与えてしまうのだ。

 本当は、わかっている。何故に夫が他の女を必要としたのか。私では、安らげないからだ。私と居ると疲れるのだ。棘を持った者同士の戦いのような関係が疲れるから他の女を必要とするのだ。戦場に向う男には母のように安らげる女が必要なのだろう。そうやって男を包み込んで安らげさせることのできない自分を悲しく思う。それならばいっそ、私を捨ててくれればいいのに。

 忠興の恐れていたことが起こった。豊臣秀吉が、お玉を大阪城に登城させ拝謁させるように命じてきたのだ。この頃、天下人となった秀吉の漁色ぶりは巷では有名だった。人の女房だろうがなんであろうが手当り次第だった。その秀吉が、世間で「類稀なき美女」と噂される玉に興味を持たない筈がない。しかし、さすがの忠興も、秀吉の命に逆らうわけにはいかなかった。

 玉は大阪城で秀吉に拝謁することとなった。現れた玉の姿を見て秀吉は息の呑んだ。玉は、秀吉の前に歩み寄り、頭を垂れた。その瞬間、玉の懐から、懐剣が落ちた。

 秀吉は、身を引いた。玉は何事もなかったかのように、「失礼をばいたしました」と、その懐剣を懐にしまった。顔を上げて秀吉の顔を凝視した。

 玉にとって秀吉は父の仇。誰が、お前の手になどかかるものか、何かあれば私はすぐにこの懐剣で自分の胸をつく覚悟は出来ていると、その目は語っていた。秀吉は玉を下がらせた。
 この女は、妖魔か。
 秀吉の額に汗が流れた。美しいだけの女ではない。美しいだけの女なら他にもいる。全身が刃のように研ぎ澄まされた女だ。あの目で見られるだけでこのわしともあろう者が蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。あの女の持つ見えない刃が異常なほどの淫靡さをかもし出している。殺気のような色気だ。いや、色気というような甘く生易しいものではない。この女は、妖魔だ。人をとり殺し、人を狂わす、妖魔だ。

 玉の知的好奇心は留まるところを知らなかった。天主の教えを更に深く知りたいが為に、ラテン語ポルトガル語を習得した。

「悲しむ者は幸福なり」

 この言葉が玉を救い、彼女は更にキリスト教に傾倒していった。



 秀吉拝謁の件があってから、忠興はますます狂った。その頃、玉は大阪玉造の細川屋敷に住んでいた。忠興は自分が朝鮮出兵で大阪を離れるにあたって、玉の住む奥座敷の天井や床下に無数の火薬をしかけた。
 もし、何かあった時に、玉が他の男の目に触れる事が忠興には耐えられない。その時は、この火薬に火をつけるようにと侍女達に命じた。他の男に犯された玉を見るより、いや、実際に犯されずとも、他の男の目に触れて他の男が玉に欲情する事自体が耐えられないのだ。それよりは、玉の姿を消滅させてしまう方が忠興にはまだ許せた。火薬に火をつけ、次々に爆薬が誘発し、屋敷もろとも玉の肉体が吹き飛ぶ。そうすれば誰の目にも玉を触れさせぬ事が出きる。ただ、死んだだけでは、その遺体が人目に晒されることもあるだろう。それも忠興には我慢ならなかった。

 この女は、普通の女ではない。姿形の麗しさだけなら俺もここまで狂いはしない。俺の身体に蛇のように纏わりつき俺を全身で欲するこの女と交わると俺は俺の存在そのものが喜びで打ち震えるのを感じる。この女の存在が俺を生きさせていると言っても過言ではない。だからこの女が他の男を欲して、他の男がこの女の中に一分たりと存在する事は、俺の存在の死を意味する。
 この女の身体にも心にも俺以外の男を存在させてはならない。俺はその事を想像するだけでも激して狂いそうになる。
 俺は、多分、妖魔に魅入られている。妖魔は常より蛇のように俺に纏わりついて離れない。俺はたまにその事で息苦しい。だから他の女も抱かねばならぬのだ。そうしなければ、いつかはこの女を俺の中に完全に取り込む為に、この女を殺して食べてしまいかねないからだ。
 俺は狂っている。妖魔に魅入られて。しかし狂う事にこの上ない喜びを感じているのだ。


 罪は、私にある。
 爆破装置のある部屋に監禁させられた者の気持ちが他の誰かにわかるだろうか。私でなければ、ここまではされなかっただろう。忠興は狂っている。でも狂わせたのは私なのだ。私の中の何か狂った部分が、人を地獄の炎のような妬心で苦しめているのだろう。忠興は、普段は家臣に慕われるごくごく普通の大名だ。ただ私に対してだけ、このような異常な振る舞いをする。狂わせたのは私だ。私は自分の意思の知らぬところで、生まれながらに罪を背負っているのだろう。
 夫を狂わせた私は罪深い。それでも激しく夫を求める私は罪深い。私は、夫が欲しい、欲しいと求め続けている。会話するより、労わりあうより、繋がりたい、肌を合わせたい。蛇のように、身体を絡めあいたい。

 私は父母のような穏やかで労わりあうような関係を羨ましく思いながらも、この痛めつけあいながらの激しい交わりをも切に求めているのだ。なんたる矛盾よ。
 ああ、そして罪深い私は、やはり地獄に堕ちるだろう。どんなに天主様に請うても、果てなき欲望の先に見えるのは地獄だ。どうして、私は、母のように生まれてこなかったのか。男を安らげさせる女に。

 秀吉は伏見城で生涯を閉じた。徳川家康と秀吉家臣石田三成との対立が激化した。夫の忠興は家康につく。大坂城石田三成は、人質になるように玉の登城を命じて再三使者をよこした。三成の目を逃れ脱出した大名の妻子達も多かった。しかし玉は動けない。この後に及んでも忠興は玉が外を出て人目に触れる事を禁じていたから。

 玉に、もしもの事があれば。
 玉を殺せと忠興は家臣達に命じて出征した。

 やっと、死ねる時が来たか。
 再三の三成のよこした使者の催促に細川家はもうどうにもできない事態に陥っていた。やっと、私の死に時がきたようだ。私はもう疲れている。爆薬に囲まれた生活も、止む事のない忠興の異常な束縛と嫉妬も、そしてそれから逃れられずに狂おしく忠興を求める自分の欲望と、その矛盾と罪悪感に苦しむ事も。終わり無き苦しみと果ての無い欲望を背負いながら救われぬ事を知りつつ救いを求めて生き続けることに、疲れた。

 天主様は自殺を禁じておられる。
 玉は細川家の家臣の小笠原少斎を呼んだ。玉の姿を見て近づく事は禁じられているので、襖を隔てながら。
 少斎、お前が私を殺してくれ。
 細川家の家臣一同は常より、何かあったら屋敷を爆破するように言い含められていた。ついに、その時がきたのだ。

 玉は襖を開けた。少斎は、なぎなたを持ち、玉の姿を見た。そこにはこの世のものとは思えぬほどの妖気を発する女がいた。玉は着物の襟をはだけ白い胸元を曝け出した。少斎はその白い肌の眩さに躊躇した。この後に及んで玉の妖気に魅入られてしまったのだ。


 マリア様


 小笠原少斎は切支丹では無かったが、どこかで耳にした事のある、その名前を思わず口に出した。

 「少斎、早く!」
 玉が叫んだ。少斎は、歯を食いしばり目を瞑り、その胸元に向けてなぎなたを突き出した。


 忠興の常の命の如く、その後、細川家玉造屋敷の奥の間から凄まじい爆音が鳴り響き屋敷は跡形もなく飛び散った。忠興の望む通りに、世に類稀なき美女と言われた玉の肉体もこっぱ微塵に吹き飛んだ。

 明智光秀の娘、玉、後世に「貞女の鏡」として名高い細川ガラシャは、その数奇な運命に相応しく爆死という凄まじい死を遂げた。彼女は天主に導かれ、天国に行くことができたのだろうか。


 求めれば求めるほど、交われば交わるほど、身体は喜びながらも私はいつからか心の隙間が大きくなるのを感じていた。あなたは私を求めるけれども、私という人間を見てはいない。どうして私という女を信じることも許すこともしてはくれなかったのか。あなたは愛を騙った独善的な鎖で私を縛りつけ私の意思など考えようともしてはくれなかった。
 あなたは私を欲して、私はあなたを欲してはいたけれども、それは天主様の説く「愛」などではないことに私は気付いていた。お互いを許さず信じず、ただ求め合うだけの労わりの存在しない関係故に、お互い痛めつけあい続けてきたのだ。

 しかし、そんな形ではあっても、「愛」ではないかも知れないけど、私はあなたを必要としてきたのだ。
 けれども、あなたは私を殺す。己の為だけに。私を他の男の目に触れさせたくないという自分の欲望の方が、私の命より大切なのだ。
 あなたは結局のところ、一度たりとも、私という人間を見てはいなかった。ましてや愛してなどはいなかったのだ。

 それでも私はあなたを恨みなどはしない。そうさせたのは、私だ。愛されなくても、いい。私は死を目前にして、あなたを許す。私を愛さなかった、あなたを許す。そしてあなたの存在を神の名において祝福する。あなたを許すことによって、私は自分をも許すことができた。
 そうして、やっと、私はあなたを愛することができた。例え愛されなくても、愛せただけで、私は救われた。

 そして、今度生まれ変わるなら。戦の無い世に男として生まれよう。私は、もっともっと知りたいことや学びたいことがあった。書物だけではなく外に出て自由に動き、世界を見たかった。私は私の原罪故にずっと閉じ込められてきた。本当は、もっと学問がしたかったのだ。知ることの喜びは何にも勝る。私は自由に海の向こうに渡り、もっともっといろんなことを学びたかったのだ。切に、切に、そう願う。


 細川忠興徳川家康に仕え大阪の陣の後に九州熊本の地を与えられる。その細川家の子孫・細川護煕氏が内閣総理大臣を勤めたのは記憶に新しい。



 石田三成徳川家康岐阜県関が原で決戦し、家康が勝利する。この関が原の戦の4年後、京から江戸へ向う一人の女の姿があった。
 この女も、桔梗の女。明智の血をひく女。もう一人の桔梗の女は、ひたすら東海道を歩く。

 江戸へ。



                          後編へ続く







※参考までに。
 この話は、以前書いた以下の話の続編みたいなものです。


「戦国に咲いた一輪の花・前編」http://d.hatena.ne.jp/hankinren/20061127#p1
「戦国に咲いた一輪の花・後編」http://d.hatena.ne.jp/hankinren/20061128#p1

「英雄、AVを好むhttp://d.hatena.ne.jp/hankinren/20061120#p1