2007-02-08から1日間の記事一覧

 桔梗の女・前編

その夜は寝所に入る前に見上げた月に赤みがかかっていた。気味が悪い月だ、と鬼神と呼ばれた男にしては珍しく胸騒ぎを感じながら床についた。 夜半に異様な気配で信長は目を覚ました。宿舎としている本能寺の周りが騒がしい。寝所に足音が近づき家臣森蘭丸の…