そこびえ第2回&作家的日常


 明日21日発売の「特選小説」3月号に、連載小説「そこびえ」の第2回が掲載されております。今回の舞台は、雪の金閣寺です。
 あと、今回は小説だけではなく、リレーエッセイ「作家的日常」のページにも書かせていただいております。官能小説家とバスガイドとのギャップがありすぎる二束のわらじの日々などを日記形式で綴っておりますので、是非ご覧になってください。

 「特選小説」⇒http://www.tg-net.co.jp/nyujo/right-logo/frame/tokusen.html


 新年初の東京行きは対談の仕事でした。この世界の「御大」の作家先生と出版社にてお話をしました。非常にお世話になっている方で、今まで何度かお会いしてもいる方なのですが、紳士で、女性が大好きで、女性に優しくて、サービス精神旺盛で素敵な方でした。よくありがちな「女性に自分が好かれたいから女好きを公言する」とか「女に冷たくすることで征服欲を満たそうとしているために女好きと言い張り女の気をひく」でもなく、また「俺、女好きだから〜と言って、べたべた触ってくる」とか「女好きと言いつつ、自分の好みのタイプしか好きでじゃないので、そうじゃない女を虫けら扱いするタイプの女好き」でもなく、女性という存在そのものを深く愛しておられる方です。変態だけど。
 教養もあり、知的で、真摯で、変態で、そして何よりも、たくさんの質の高い作品を生み出されている素敵な男性です。私が男の人をこれだけ褒めるのは結構珍しいのですが、初めてお会いした時から、人を優しく包み込むオーラを漂わせた魅力的な方だと思いました。


 対談の席ではなく、その後の飲み会で、御大が「日野日出志の漫画でヌいたことがある」とおっしゃったのに驚愕。自分はまだまだ人間が小さいと痛感。


 その対談の前に、池袋のミステリー資料館へ。没後10年の「山田風太郎再臨展」を見に行く。山田風太郎は高校の先輩にもあたり、一番好きな作家。この人がいなければ、私は作家になっていなかったかもしれない。小説というものの面白さを教えてくれた人。
 覚えのあるタイトルの母校の機関紙の表紙の絵を山田風太郎が描いていたものが展示されていた。
 あの、田舎の学校で、閉塞感で窒息してしまいそうなじめじめした地方の片隅で、山田風太郎が自分と同じ場所で、同じ空気を吸っていたのだと考えると、かつて大嫌いな土地だと思っていた故郷に生まれてよかったと思うことができる。


 今年に入ってから夫以外の人と会って話すということをしてなくて、誰かと一緒に食事をするというのも夫以外と機会がなかった。夫とだって2回しか会ってない。
 今回の東京行きと、その翌日のある会で、思いっきりいろんな人と話して、大勢とか2人きりとか、いろいろだけど、たまには人と会ってこうして話さなきゃなと思った。自分では整理つかないことが、言葉できちんと変換されて腑に落ちたりとか、自信を与えてもらったりとか、そういういいことがある。