夫の目の前で犯される人妻


 はい。
 さっきまでね、久しぶりにエロビデオを観ていたんです。エロビデオを観て何していたかは聞かないでねん。
 
 で、ですね。
 いろんな女優さんが、「夫の目の前で暴漢達に無理やり犯される」という、定番シリーズを観ていたのですよ。

「あ、あなた、見ないで・・・」

「へっへっへっ・・奥さん・・・旦那に見られながら濡れてるじゃねぇか・・・」
 ってやつよ。

 定番っちゃあ、定番なんですが。

 思えばこのパターンの元祖って、芥川龍之介の「藪の中」でしょうか。元祖ってわけやないかもしれへんけど、そんなよね。

 「藪の中」を御存知ない方へ。
 この小説は、夫の目の前で妻が盗賊に犯されて云々という内容です。あ、内容はしょりすぎ? 短い小説なんで読んでね。それがテーマやないんやけど!

 そしてこの「藪の中」を映画化したものが黒澤明監督の「羅生門」です。ベネチア映画祭グランプリ受賞の、そら奥さん、大傑作です。
 犯す盗賊役が三船敏郎
 夫役が森雅之
 
 犯される妻が、京マチ子

 京マチ子さんというのは、もう、なんというか色気あるし演技も素晴らしい名女優です。私が日本人で一番好きな女優で、密かに、

「俺のマチ子」

 と、呼んでるお方です。


 そう。
 世界に日本映画を知らしめた「羅生門」は、「夫の前で犯される」というエロビデオ、エロ小説の定番パターンを、大女優・京マチ子様が・・・・俺のマチ子が・・・演じているのですよ!


 ああ・・・いやらし過ぎる・・・俺のマチ子・・・
 映画には裸もセックスシーンも出てこないんやけど、俺のマチ子の色気にイタリア人も悩殺されたんやでぇ・・・間違いないわぁ・・・


 と、AVを観て、しっかりヌきながらも、「俺のマチ子が一番やなぁ・・・」と改めて認識した清純派バスガイドでした。


 でもね。
 「羅生門」の、公開時のポスターのコピーって・・・殆どポルノ映画なんですよ。
 映画村にポスターがあって、それを見る度に、「ヤバい・・・」と思うんですもの。

 確か、こんな、煽り文句なんです。


「ムンムン草いきれの藪の中 
 ギラギラ光る獣欲の眼」

 って・・・


 ムンムンって。
 ギラギラって。

 またこのポスターのマチ子様の表情が、いやらしすぎます。
 あんな、いやらしい顔の女を見たことない。
 女って、すごいなぁ。
 あんな、いやらしい顔をする生き物に、男が勝てるわけがない。
 
 しかし俺のマチ子は勿論だが、三船敏郎森雅之志村喬も、皆色気が凄まじいのよ。画面から匂いたつような色気が。
 役者は、色気だって思いますね。
 ムンムンして。
 ギラギラして。

 どんな美男美女も、どんな知的な人間も、どんな富ある人間も。
 色気がなくちゃ、風が吹いたら飛ばされるような、つまんない人間だ。

 媚や、わざとらしさじゃない、色気。
 狂気ともいえるほどの、色気。

 それを、人は、「毒」ともいう。



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