手紙
手紙を貰った。
後輩のガイドさんに。
「相談に乗って貰ったお礼に、メールじゃ失礼なので、手紙にしました」
と。
大した相談じゃない。
ただ、若い彼女のもやもやしていた気持ちを聞いただけ。
それだけのこと。
私もよく先輩や同僚に愚痴る。
昼間からこの前はビールを飲んで愚痴ってたりもした。
それだけの、こと。
だけど、手紙なんて貰ったのは、久しぶりで、しかも手渡しで。
内容は、お礼と、最後に、「素直に謙虚に頑張ります!」と書かれていた。
メールじゃなく、手紙ってのが新鮮で、心がこもっていて嬉しかった。
ついついね、メールで済ませてしまう。
楽だから。
簡単だから。
でも、簡単だから、楽だから、嘘もかけてしまうし、媚も含めやすい。
簡単だから。
ああ、でも、駄目やね。あかんわ、やっぱ。確かに簡単やけど。
これから私も、出来るだけ、大事な人に気持ちを伝えるのは、手紙にしよう。字が汚いけど、でも、手紙を書くようにしよう。
そして、いつか、ためらいもなく「好き」と言えるような相手が現れたら、手紙を書こう、恋文を。
思えば、ラブレターなんて、もう20年ぐらい書いていない。
身体で男と繋がることを覚えてしまってから、心を言葉で伝え合うことが怠惰になってしまっていたのかもしれない。
身体の繋がりは大切で、欠かせないものだけれども、けれど時折、心を伝え合う言葉が置いてけぼりになり、そのヒビから隙間が広がり手を伸ばしても触れることが出来ないぐらいに、いつしか離れてしまっている。
好きというのが怖いのだ。
ましてや好きという言葉を残すのが怖いのだ。
まるで弱味を見せてしまうようだから。
そうして相手の顔色を伺うような恋愛は、必ずよくない終わり方をする。
残る言葉を伝え合おう、残る言葉を。
心の言葉を伝えよう、あなたに。
今度、誰かを好きになったならば、恋文を書こう。
心を、言葉に。