僕の歌は君の歌
ある日の社長と社長秘所(字の間違いはわざと)の会話。
社長「あんた、アラフォー世代って知ってる?」
ワシ「? アラカンなら知ってますけど。嵐寛寿郎、鞍馬天狗の」
社長「違うって、なんか、あんたらの世代のことらしいでー」
ワシ「そんなん勝手に私らの世代、名前付けられても・・・・」
と、いうわけで、最近知ったこの言葉(すいませんね、世に疎くて)。
で、ある夜にテレビをちょいとつけたら、「アラフォー世代が選ぶ『元気が出る歌』とかやってたんです。ラインナップ見て、「はぁ?」とか思ってたら、同世代のマイミク(mixiの友達)さんも日記に書いておられました。
「アラフォー世代が選ぶ、元気が出る歌」こんな感じ。
↓
20位 私がオバさんになっても 森高千里
19位 ハナミズキ 一青窈
18位 今すぐKiss Me LINDBERG
17位 愛があれば大丈夫 広瀬香美
16位 あなたに逢いたくて 松田聖子
15位 Everything MISIA
14位 守ってあげたい 松任谷由実
13位 未来へ Kiroro
12位 六本木心中 アン・ルイス
11位 PIECE OF MY WISH 今井美樹
10位 時代 中島みゆき
9位 ら・ら・ら 大黒摩季
8位 TOMORROW 岡本真夜
7位 フレンズ レベッカ
6位 夢をあきらめないで 岡村孝子
5位 My Revolution 渡辺美里
4位 元気を出して 竹内まりや
3位 DIAMONDS PRINCESS PRINCESS
2位 負けないで ZARD
1位 うれしい!たのしい!大好き! DREAMS COME TRUE
う〜ん・・ほとんどカラオケでは歌えると思います。
でも、「好きな歌」と「元気が出る歌」というのは違うと思うし、「元気を出して」とか「負けないで」とか、嫌いではないけど、「そのまんまやんっ!」過ぎて、これを聞いて、「きゃーっ! 私、元気になりましたーーっ!」とはならない、私は。
中島みゆきも松田聖子も好きやけど、「時代」や「あなたに逢いたくて」で、「いやーっ! 私って元気ーっ!」とはならないなぁ。
あと、元気が出るってほどやないけど、「落ち込んでる時に聞きたい曲」ってのはありますねぇ。
しかし私にはピンとこないランキングでした。ランキングといえば、あのanan(ananの特集って、8割ぐらい痛いと思うんやけど・・・)の「好きな男ランキング」もさっぱりわからんし、知らん人が多い。
キム卓(元婚約者のT君は、こう変換します)の魅力もわからん・・・・
「元気が出る歌」ってのとは、ちょいと違うと思うんやけど、数年前に田舎に居て旅行会社居て、出張が重なって仕事がめちゃめちゃハードだった時のこと。その時に在籍していた会社に対してもなんやかんやあって(その会社はもう潰れました)精神的にも肉体的にも疲弊しまくってた時。三日間、東京行ってて、翌日からは九州行かなあかんかってんけど、東京から帰って、駅から車で自宅に戻り、疲労のあまり車から降りられんかったのね、家のガレージの中やったんやけど。もう深夜で、だけど翌日も早朝から出張で、早く寝なアカンねんけど、車から降りられへん、ぐったりしてて。
そん時に、大音響で(田舎で周り田んぼばかりやから許される)中島みゆきの「ファイト」を繰り返し、繰り返し聞いてました。
それを聞いて「きゃー! 私、元気になりましたー!」とはならないけれども、何度も聞いて、「生きていくのは、しんどいなぁ、でも、とりあえず、生きていこう」と気力を振り絞って車を降りました。
そんな中島みゆきの名曲「ファイト」なんですが、最近、元婚約者で歌手のT君から、こんなメールが来ました。
「ファイトって、レイプの歌ですか?」
って・・・・・
いや、確かに、
>あたし男だったらよかったわ 力づくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ
という箇所はあるけどよ・・・
で、「確かに一部、そんな歌詞あります」と返事すると、
「やはり『ファイト』レイプ! 私練習しますー!」
って・・・・あの、これはレイプを練習するんやないんですよ、彼は歌手なんで歌を練習するんです・・・
「ファイト」は、そんな陰惨なレイプソングではありません。
↓
>ファイト! 戦う君の唄を 戦わないヤツらが笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を 震えながらのぼってゆけ
中学生の頃から中島みゆきは好きで、オールナイトニッポンも聞いていたけど、その頃の中島みゆきは、ラジオではギャハハ笑いキャラで、エッセイでは貧乳やカップラーメン好き、ブス(←ちっともブスじゃないけど、失恋ソングが多いせいか)ネタが多かった。
そして、ゆっくりと、時代に媚びず添うように、中島みゆきは変化していく。歌詞も、音楽も。
2000年から始まったNHKの「プロジェクトX」の主題歌「地上の星」の驚異的な大ヒットで中島みゆきは広い世代に羽を広げる。
基本的にテレビに出ない人やけど、見る度に、なんて綺麗な人なんだろう、と思う。美しく、優しい顔。
「暗い失恋ソング」(うらみぃ〜ま〜す〜とか唄ってたからねぇ)歌手から、中島みゆきは、変化をし、「母性溢れる菩薩」となった。そして、それを時代が求めていたから、中島みゆきの唄は、「地上の星」の大ヒット以降も、歌い継がれている。
「1995年」がテーマの「オルタ」の原稿には、中島みゆきの「誕生」という唄のことを書きましたけど、オウム真理教事件といえば、ホンマのこというと、「空と君との間には」の方が印象深い。オウム信者を脱会させようと、脱会した人達のために今も活動し続けている滝本太郎弁護士が彼らに聞かせていたといわれている歌。
>君が笑ってくれるなら、僕は悪にでもなる
という歌詞は、当時、ものすごく印象に残った。
愛情は、綺麗ごとなんかじゃないということ。
愛情は、命がけだということ。
時には身を傷つけ、死ぬ覚悟が必要だということ。
「私の子供になりなさい」の歌詞ほど、強烈な母性を発するものはない。男には女より泣きたいことが多いから、疲れたのなら、泣きなさいと、愛だとか恋だとか難しく考えず、私の子供になりなさい、泣きなさいと。
中島みゆきの歌う「慈悲」「母性」に触れると、救われたい、愛されたいとう、自分の心の中の「愛情を乞うる子供」が泣き止むような気がする。
「元気が出る」というのとは、ちょっと違うんやけどね。
「とりあえず、明日また生きよう」と、思える。元気が出なくても、バカな自分でも、失敗ばっかしてる自分でも、いいじゃないか、と。
ぼちぼちでいいから、生きていこうか、と。