えりもの春は何もない春です ―平野勝之監督のこと―


 もし、このブログを平野勝之http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E9%87%8E%E5%8B%9D%E4%B9%8Bという名前で検索して訪れた人がいるならば。その方達に向けてのお知らせです。

 平野勝之監督が、現在発売中の「自転車人」http://www.yamakei.co.jp/products/detail.php?id=907104という雑誌に記事を書いておられます。北海道から京都の家へ向う69歳のチャリダーおばあちゃんとの出会いについて。怪我で動けなくなり絶望し1度は自殺も考えたおばあちゃんと、森進一唄う演歌が流れる「何も無い」襟裳岬で出会い衝撃を受ける平野監督。自殺したいと思った頃のことを考えると、ツーリングしてて辛いことなんて無いと言うおばあちゃん。

 森進一歌う「襟裳岬」。何もない、寒いところだから、人は温めあおうよという名曲です。これ、今改めて思い出した、吉田拓郎が作曲してんのね。今月号はこのおばあちゃん以外にも北海道で出会った「流れ者達」について書かれておられます。バックナンバーにも平野監督の記事はあるので、「平野勝之」で検索してここに辿り着かれた方なら、是非。

 ところで、この「自転車人」という雑誌の出版元の「山と渓谷社」の、歩く地図シリーズhttp://www.yamakei.co.jp/products/detail.php?id=016920はガイドさん必携の優れものガイドブックです。「歩く」旅人にお勧め。このサイズなら小さい鞄にも入るから持ち歩き易いのよ・・・毎回携帯しているガイドさんは多いです。仕事柄、旅行関係の本を購入する機会は多いですが、山と渓谷社の本は結構いいっすよ。

 
 中島らもが、山田風太郎のことを、「この時代に生まれてこの人の作品と出会えたことを幸福に思う」(うらおぼえで正確じゃないかもしれなくてごめん。出典探したけどみつからんかった)とかいうようなことを言っていたけど、私もこの時代に生まれて平野勝之という人の作品と出会えたことを幸運だと思うし、そのことだけでも自分は強運の持ち主やと思うことができる。

 もし、私と同じように感じている方がいらっしゃったら、「自転車人」読んでください。

 北の大地の、彼の岸の孤独の果てに在るものに焦がれる人なら、「平野勝之」という人を知って欲しい。



 ああ、でも遠い。北海道も東京も遠い。早く鎖を解いて手を伸ばしたい。
 その遠さに時折目が眩む。
 遠い、私の欲しいものは、いつも遠くにあり、そこに辿り着くまでの旅の長さに辟易する。

 早く、早く、手の届かないところへ消える前に早く行かないと。
 早く。