贅沢貧乏
家から歩いて30分ぐらいのところに養鶏場があって、24時間本日産みたて玉子が購入できる自動販売機がある。時間に余裕がある時期はそこで玉子を買う。
この辺は交通の便はいいけれども郊外なので、田んぼと畑が多くて道端で地元の特産野菜を売ってるところも多い。そうは言ってもそういうところは大体昼間しか開いてないので、お勤めをしている身では中々行く機会がない。
しかしながら一軒だけ、夜でも土のついた採れ立て野菜を買えるお店があるのですよ。家から少し歩いた小さな本屋。「商店」って感じの本屋ですよ、多分エロ本がメイン。店内入って正面がエロ雑誌コーナー、買ったことは無いけどAVも少しだけ置いている。
ここの本屋さんの店頭には、ダンボールの上に並べられて、季節の野菜が売っているのですよ。多分、この本屋さんちで作っている野菜を家族だけでは食べきれないので、余ったやつをちょいと並べて売ってみようといった感じね。
野菜はある時と無い時があるし、遅く行くと売り切れの時もあります、まさに一期一会。だいたい百円均一で、新たまねぎ三つ、きゅうり三本、ピーマン、赤かぶなどなど。冬には大根に白菜、京都らしく九条葱や壬生菜などの京野菜もある。
私がつけてるアクセサリーは、知恩寺の手作り市か、京都のある商店街の中の小さなお店で買ったもの。そのお店は数年前に偶然見つけたナンとも節操の無い品揃え。中国、日本、インド、イタリア、スペイン、フランス、アメリカ、世界各国のいろんな変なモノが無造作に置かれている。アクセサリ、ランプ、人形、絵画、棚、鏡、絵皿、服、なんでもあり。「中国人が書いた絵」なんてモノも売っている。中国人のダレやねんって。
そしてとにかく安さにビックリ。ゴーギャンの絵が書かれたフランス製トレイは二百円でした、マリリン・モンローのクラシック調のマグネットも二百円。私がここで買ったアクセサリーなんか、大体三百円だ。儲ける気が無いとしか思えない。林清一デザインのデザート皿12枚セットは木箱に入って千二百円だった。タイ製の木皿は六百円で大活躍。
聞くところによると、ここのオーナーはずっと世界中を旅していて、自分が気にいったモノを輸入してここで売るそうな。
春忙しかった鬱憤を晴らすかのように、遊びたくて遊びたくてしょうがないので、先週の日曜は京都の南にある藤森神社に紫陽花を観に行きました。私の「遊び」なんてモノは寺や神社に行くのがメインです。旅行に行きたいけど、遠出する時間も金も無いから京都近辺で数時間のプチ旅行。安い交通費と拝観料だけで旅行気分が味わえるのが京都のいいところだ。
昨夜は9歳下の友達と三宮で御飯。彼女は車で、私も翌日仕事だから飲まずだけど、豆腐と鶏肉がメインのその店は何でも美味しいし、9歳下とはいえ仕事で同期として知り合ったので、二人共全く気を使わずタメ口で、人には話せないヤバい話で盛り上がり、相当ハイになり帰宅。しかし女同士って、アレでアレでアレでどろんどろんとしてるけれども楽しい。どろんどろんした話を俯瞰して笑って語れるのも時間が経っているおかげかもしれねぇけど。しかし気が合うモノ同士の会話ほど、内容がバカですね。ホンマにバカなことばっか喋ってケタケタ笑って腹が痛い。
お散歩がてら養鶏所で産みたて玉子買って、エロ本屋で土のついた新鮮な野菜を百円均一で買って、ピーマンは炒めて貰いモノの味噌ダレからめて翌日の弁当のオカズに。
私はそこそこ貧乏で、働かないと食っていけないし、仕事も相当不安定で将来も無いし、多分これからもずっと独身で自分で自分を養うしか道はない。(いや、それはわかんねーか)
だけど、お手軽に採れ立て玉子や野菜を入手できる我が境遇は何て贅沢なんだろうと思ったのですよ。
友達の彼氏がAV50本くれるらしいし、何て贅沢な生活をしているんだろう。貧乏臭いし、貯えも無いし収入も同世代の人からしたら少ない方だろうけど、何て贅沢な暮らしをしているんだろう。
だけど私はお金が大好きで、お金に醜いぐらい執着している。ホンモノの貧乏は人をとことん醜悪な人間以下の存在にする毒だから、「お金より大切なものがある」なんて絶対に言えない。お金の為なら人はどんな悪いことでもする、生きるためにそうせざるをえない時がある。
お金が大好き。お金のために働いています。でももしこれから先、私が大金持ちになることがあったとしても、養鶏所で玉子を買ったり、ダンボールの上に無造作に売られている土のついた野菜を買ったり、京都の神社仏閣で季節の花を見に行ったり、世界のどこかの国からオーナーが全く自分の趣味で選んだ格安アクセサリーを買ったりする、そんな高給な「贅沢」は、やめられないと思うし、やめたくねぇよなぁ。