武士の美学

 実は私の携帯のストラップは、京都太秦映画村にて購入いたしました、「坂本龍馬」ストラップでございます。映画村に新撰組や龍馬グッズ売ってるとこがあってさぁ、幕末の人の中で一番好きなのは、高杉晋作ちゃんなんやけど、高杉グッズは長州まで行かないとないのかねぇ。新撰組よりは、龍馬だなと思って、龍馬ストラップを購入いたしましたの。



 数ヶ月前、ふとブラっと京都伏見に行って、坂本龍馬が定宿にしていた「寺田屋」に久々行ってまいりました。「竜馬通り」という商店街では、無料で甘酒振舞ってくれてたので貰っちゃいました。伏見は酒処として有名で、あちこちに酒蔵があるとこなんです。しかし、久々の寺田屋は良かったなぁ。
 龍馬という人物は、好きかと問われれば、「嫌いじゃないわよん」と答える程度ではあるんですが(好きとかそういう視点で言えば高杉晋作の方が絶対に好きっ!!)、非常に興味深い人だなぁと思うのです。

 龍馬って、弱点が多いんだよ(笑)。でも、それがマイナスになってないんですね。すんごく「普通の人」だと思う。「英雄」ではないと思う。だけど、誰にも出来ないすごいことをやってのけた。何故それが出来たのかというと、それは彼の「性格」が、それをさせたのだと思う。その「性格」は、方向を一歩間違えたら、よくない方に行ってしまったと思う。それぐらい龍馬には弱点が多い。しかし彼を誰よりも幕末の志士たらしめたのは、彼の「性格」ゆえんではないかと思いながら伏見を歩いたわたくしなのでありました。 司馬遼太郎先生が、「人間の運命を決めるのは、才能ではなく性格である」って言ってたって、団鬼六先生が書いてたし。いや、ホンマにそうですねん。


 逆にっちゅうか、なんちゅうか、源義経という人は、「性格」で失敗しちゃったなぁと思う。ゲリラ戦においては日本史上トップの天才だと思うんだけどなぁ。


 そー言えば、今確か築城400年祭やってる彦根城行って思ったけど、「井伊の赤備えhttp://longlife.city.hikone.shiga.jp/museum/intro/index3.htmlって、カッコいいっすね!なんやねん、それはって、元々は武田騎馬軍団がしてたんだけど(信玄ちゃんのとこの)、要するに赤い鎧のことなんですが。徳川四天王の一人の井伊直政の主君の徳川家康が、生涯一度だけ戦で負けた相手が武田信玄なのですけど、その武田騎馬軍団のようにと井伊軍は「赤備え」を家康に許されたのです。 実は城好きな私ですが、彦根城いいすよー。


 敬愛する歴史学者奈良本辰也先生が書いてらっしゃったんだけど、武士には「美学」があった、と。
 戦の前には「香」を焚く武将も居たそうな。わかるなー。仕事で気合入れなアカン時に、好きな香水やマニキュアつけて、身なりを固めて武装して「戦に挑む」気分の時あるもんなぁ。私は結構、スーツって好きなんだけど、アレはやっぱり「戦に行く為の鎧」だから、気合が入る。


 武士は、勝っても負けても「美学」があったと奈良本先生は、おっしゃるの。だから負けても「惨めな敗者」にはなってないですよね。信長しかり、義経しかり、弁慶しかり、楠木正成しかり、真田幸村しかり。同じようなことを、プロ野球を見て思ったりもする時もある。


 そうだ。書きながら思ったけれども、山田風太郎の小説もそんな感じ。絶望の中に救いを示すとか、敗者や悪人の美学を描くというか。 



 そして世の人の大半は、敗者であり、悪人であるのだよ。