戦国に咲いた一輪の花 (前編)
その女は絶世の美女だったと歴史は伝える。
しかし400年以上も昔の話だ。その女が本当に絶世の美女だったかどうかは定かではない。
だがその女の人生は、その女自身の意思を越えたエネルギーの凄まじさは、歴史を変えた。いや、歴史を作り上げた。だからその女は「絶世の美女」と呼ばれるに相応しい。
その女の名を「お市」と言う。
お市の父は尾張の守護大名織田信秀。12歳離れた兄の名は織田信長。戦国乱世の定めに相応しくお市は織田家と北近江(滋賀県北東部)の浅井家との同盟を結ぶ為の政略結婚で浅井長政に嫁いだ。
その時代の習いとして婚姻の日まで顔も知らぬ夫であったが眉目秀麗の浅井長政とお市は仲睦まじい夫婦となった。男子一人(二人説有り)女子三人の四人の子供にも恵まれた。しかしこの戦国の乱世がこの仲睦まじい夫婦をこのままにはしておかなかった。
越前(現在の福井県中心部)の朝倉義景と織田信長は敵対関係にあった。信長は当然妹婿の浅井長政が自分の味方に付くと思っていた。その為に大事な妹を嫁がせて同盟を組んだのだ。しかし浅井家は先代からの繋がりのある朝倉家についた。お市の夫浅井長政とお市の兄信長は敵対することとなった。
死闘が繰り広げられた姉川は兵士達の血で染まったという。お市と浅井長政は北近江の小谷城に立てこもり死を待つのみとなった。夫が兄の手によって殺されようとしている。しかしこれも乱世の常と覚悟していた二人の元に兄信長からの使いが来た。
小谷城に訪れた使いは信長の家臣・羽柴秀吉だった(後の豊臣秀吉)。信長の命により、お市と子供達を引き渡すようにということだった。浅井長政は秀吉に妻子を託した。お市は愛する夫と共に死ぬことを望んだが夫はそれを許さなかった。4人の子供達とお前は何としてでも生きて欲しい、生き延びて欲しいとお市を諭した。
お市は死にゆく夫と別れの杯を交わし子供達と共に兄信長の元に戻った。お市が去ると長政は小谷城に火をかけた。
朝倉義景、浅井久政(長政父)・長政親子は滅んだ。そして長政とお市の子供である長男の万福丸は信長の命を受けた秀吉の手によって殺された。
織田信長という冷酷無比な男は自分の子供達や妻達にも情愛らしい情愛を持ち得なかった。唯一例外だったのが妹・お市だった。
朝倉浅井を滅ぼした祝宴が開かれた。祝いの酒が注がれた盃には漆と金で彩色が施されていた。3つある盃に注がれた酒を織田家家臣達は次々に飲み干すように信長に命じられる。
3つの盃はそれぞれ、朝倉義景、浅井久政、浅井長政の頭蓋骨だった。それほどまでに信長の憎悪は凄まじかったのだ。家臣達は顔を引き攣らせながら髑髏の盃を傾けた。逆らえば、殺されることは承知だ。この髑髏の盃のように。
物言わぬしゃれこうべよ、聞こえているか、俺の声が。髑髏に注がれた酒の味は堪らぬ美味だ。お市はお前を好いていたそうだ。俺は俺の力でこの世の全てを手に入れる。しかし一つだけ俺の手に入らないものがある。お前はそれを手にしたが、俺はそのことでお前を羨望などしない。何故ならお前はいまやもうこうして物言わぬしゃれこうべと成り果てているからだ。この酒はたまらぬ美味だ。長政よ、お前は、お市を抱いた。身体だけではなく心までお市を手に入れた。仲睦まじい夫婦であったと人づてに聞く度に俺はお前への憎悪で自分の血が沸き立ち、その憎悪が力になるのを感じた。俺はその力で天下を手に入れる。何もかも手に入れてやる。お前が俺を裏切ったと聞いた時に、俺は全身が歓喜で震え上がったのだ。お前が俺を裏切り朝倉についたことによって、俺はお前を討つことができるのだと。お市を手にしたお前を滅ぼすことができる大義名分が出来たことで俺は喜びでわなないた。そしてお前は案の定、お市と共に死ぬことを選ばず一人で死んでいった。長政よ、今宵の美酒の味は格別だ。物言わぬしゃれこうべに注がれた酒の味に俺は酔っている。お前にも味合わせてやりたいほど、美味い酒だ。
信長は朝倉浅井を滅ぼした後、天下統一の名のもとに魔王の如く凄まじい勢いで自分に逆らう者は容赦無く殺し突き進む。まるで何かに憑かれたかの如く、ひたすら魔神は天に昇ろうとした。
あと、一歩だった。中国の毛利氏を倒せば天下統一がなされる筈だった。備中高松城では羽柴秀吉が毛利と睨み合いを続けているが時間の問題だろう。秀吉の援護に明智光秀の軍を向わせた。
あと一歩で魔神は天を手に入れて、覇王となるはずだったのだ。
京都に屋敷を持たない信長の宿泊所は堀川の本能寺だった。(現在は御池河原町に移転)
夜半、本能寺の周りの様子がおかしい。気配を感じ信長は起きて刀を手に取った。何事であるかとの信長の問いに家臣の森蘭丸はこう答えた。
「謀反でございます。桔梗の紋が見えまする。」
桔梗の紋は、明智の紋。
「光秀か、是非もなし。」
弓矢を手に取り信長は応戦した。しかし本能寺の信長の軍勢は70、80人。それに対して光秀の軍勢は一万三千騎。もはやどうする術もなかった。
「人間五十年 下天のうちにくらぶれば 夢まぼろしの如くなり 全ては一生 生をうけ 滅せるものの あるべきか」(幸若舞 敦盛)
人間五十年の一歩手前、49歳で信長は命を絶った。織田信長という魔神の如く激しく生きた男は、紅蓮の炎の中で燃え尽きた。
織田信長を殺したのは、誰か。
明智光秀の単独犯行だったのか。光秀はこの後、備中高松城攻めから戻ってきた羽柴秀吉と京都と大阪の境にある天王山で対戦し敗北を帰し、居城である近江坂本城に逃亡途中で京都山科で土民の槍で突かれ命尽きたと言われている。魔神を死に追いやった者としてはあまりにも呆気ない最期だ。
信長が死んで得をした人間は何人かいるが、そのうちの最たる者が羽柴秀吉であろう。尾張の身分の低い足軽から己の才知と人心掌握術で信長の家臣団にまで這い上がったこの男が、天下の主権を握ることが出来たのはこの本能寺の変があればこそだ。秀吉が天下を取るために一番邪魔な人物は他の誰でもない、間違いなく主君の織田信長だ。
信長の死を知った秀吉は、それを隠し翌日には備中高松城の毛利氏と講和を結び、その足で畿内に戻る。一人5キロほどの武具を着けての一日40キロの猛スピードの移動。信長が亡くなってからの秀吉の行動の迅速さは異常だ。
何故か。秀吉は知っていたからだ。信長が死ぬことを。光秀が裏切ることを。どういう手段で知っていたのかはわからないけれども。
もう一人、信長の死を知るやいなや猛スピードで居城に逃げて難を逃れた者がいた。岡崎に居城を持つ松平家康、後の徳川家康。家康は東海道を避け、伊賀忍者服部半蔵の率いる伊賀忍者の導きにより大阪堺より三重県上野の峠を越え居城に無事逃げ帰った。
それよりしばらく先の話。ある時から家康には一人の謎の僧が常に添うようになる。この僧の前半生は全く謎に包まれている。この僧はやがて徳川幕府の黒幕とも称されるほどに力を持つ。天海というその僧は、100歳以上生きて徳川幕府3代目将軍家光にまで遣え江戸幕府の礎を築いた。謎の僧・天海の生年は明智光秀の生年とほぼ一致すると言われている。そして家康の孫である三代目将軍家光の乳母として徳川家に遣え大奥を形成した春日局は、明智光秀の姪にあたる。
秀吉は、木下藤吉郎という名前があったにも関わらず猿顔のせいか「さる、さる」と信長に呼ばれていた。信長の草履取りをしていた若き日の秀吉は、ある日信長の元を訪れた一人の少女に目を奪われた。幼いながらも生まれながらの誇り高さと高貴な美しさを放つその少女・お市に秀吉は一生心を奪われることとなる。
秀吉は己の才知で出世街道を駆け上る。寧々という聡明で美しい妻も娶ることが出来た。猿と呼ばれた草履取りは、木下藤吉郎、羽柴秀吉と出生魚のように名を変える。羽柴秀吉という名前の「羽」は信長家臣・丹羽長秀、「柴」は同じく信長家臣・柴田勝家、「秀」は信長父・織田信秀、「吉」は信長の幼名・吉法師に肖ったものと言われる。
信長亡き後、信長の子孫達を利用して我が身が天下を取ろうとする秀吉に嘆いた丹羽長秀は自害して果てる。そしてもう一人、柴田勝家も秀吉に滅ぼされる。
秀吉は、生涯お市の面影を求めるように病的なまでに高貴な身分の少女ばかりを次々と手に入れた。その異常ともいえる漁色ぶりに誰もが目を潜めた。年端もいかぬ少女、それも高貴な身分の少女ばかりを。
俺が、欲しかったものは。俺が求め続けていたものは。
あの人だ。俺が織田家に来て草履取りをしていた時に初めて見かけた時からその面影は今の今まで一度たりとも俺から離れたことはない。生まれの卑しい醜い俺を見る度に、あの人は嫌なものでも見たかのように俺を蔑んだ。冷たい目で俺を一瞥した。近寄るなといわんばかりの眼で俺を見下した。しかしそうして蔑まれる度になんとせん俺の貧相な身体の一部は熱く硬く屹立するのだ。俺はあの人の冷たい俺を見下す眼を思い出す度に自慰をせずにはいられない。他の女を抱く時にもあの眼を思い出すことも度々あった。俺はあの人以上に誇り高く美しい女を知らない。あの人のあの眼に蔑まれ醜い猿だと罵られながらあの人を犯す事を想像すると俺には不思議に力が湧いてくるのだ。身分の低い醜い俺があの人を組みし抱き必死に抵抗されながらもあの人の白い肌に触れてあの人の中に俺の貧相なものを挿入することを考えただけでも射精しそうになる。あの人をそうして手に入れようと願うことが俺の生きる力になるのだ。あの初めて会った日のように蔑まれ見下されながらもあの人を犯す、その高貴で誇り高い身体の中に俺の精を放つ、その為に俺はこうして知恵と才覚で天下を取ろうとしている。その為に一番邪魔だったのが、あの人の兄であるあの男だった。あの男を殺させることなんて、なんてことないことだった。あの人を手に入れる為なら、俺は無限の力と知恵が湧く。なんだってやって見せる。あの人に好かれようとは思っていない、愛されるわけもない。蔑まれて罵られて、それでも俺の力であの人を手に入れることが出来たなら。
信長亡き後、お市は秀吉から逃げるように柴田勝家のもとに再嫁する。浅井長政との間の3人の娘達と共に越前北の庄城の勝家のもとへ。
信長死して再び乱世となる。信長の後継者という大儀名分を掲げて秀吉は次々と邪魔者を攻め滅ぼしていった。天下を手に入れる為に、秀吉は柴田勝家に刃を向けた。
勝家の力は、凄まじく上昇を続ける秀吉の力に及ばなかった。身分が低く猿、猿と見下していた貧相だが愛嬌のある小男は、いまやもう勝家の及ばない力をつけていた。賎ヶ岳の戦いで破れた勝家は越前北の庄城で妻と共に死を覚悟した。そこに秀吉からの使いがきた。勝家の妻・お市とその娘達の命だけは助けたいと。
ああ、また、私は。
お市の脳裏に最初の夫浅井長政との別れの光景が浮かんだ。あの時と同じだ。私はまた夫を失おうとしている。あの時、私は自分の子供達の事を考えると夫と共に死ぬことはできないと思い兄の元に戻ったのだ。身を引き裂かれるような辛さだった。しかしこれも戦国の世の習いで覚悟せなばならぬことだと知っていた。本当は、あの時に夫と共に死ねばよかったとあれから何度後悔したことだろう。それでもあの時は私を守る兄がいたし、子供達を生かし母として育てる為に私は生きようとして、夫を見殺しにしたのだ。
そして、また、私は、夫を失おうとしている。夫と言っても嫁いで1年も経ってはいない。しかし私が幼い頃から権六勝家は時には兄のように父のように私を見守ってくれてきたからこそ私はこの人の残りの生涯を共にしようと思ったのだ。この時代に女は流されて男の権力争いの道具としてしか生きる道はない。流されて流されて生きるしか。それでも私は幸福だった。最初の夫とは信じあい愛し合い子供も儲けることが出来てこれ以上のことは無いと思えたのだ。そしてその夫を失っても、これも乱世の定めだと思うしかなかった。そして権六に嫁ぎ、そこでも私は夫に愛され優しさで包み込まれ、自分ほど幸福な女はいないと思えることができたのに、また、私はこの夫までも失おうとしている。これも乱世の習い、だ。私はまたこうして流されて流されてこのまま生きながらなえければいけないのか。これが私の運命なのか。幸せは私の手からすり抜けていく、いつも、いつも。
夫は猿のもとへ行けと言う。
「秀吉がそなたを殺すわけがない。娘達と共に秀吉のもとへ行ってくれ。生き残ってくれ。俺はもうここで死ぬしか道はない。しかしそなたには生き残る道がある。秀吉の使いと共に、この城を離れてくれ、生きてくれ、逃げてくれ、娘達と共に。短い間だったけれども夫婦として共に過ごすことができたことで俺の生涯は誰にも負けないぐらい幸せだったと思うことができる。感謝している。だから、逃げて、生きてくれ。」
夫は私に逃げろという。あの醜い貧相な猿顔の男にもとへと。確かにそうすれば私は生き延びることができる。しかし、そうなった時に守る人が誰もいない私は、どう生きなければいけないのかということもわかっているのだ。私は知っている。あの猿の好色な私を見る眼。あの私が最も嫌悪する好色で下品な眼。あの眼を持つ男が私をどうしようとするか、私はわかっている。それでも、あの男のもとに行けば私はきっとそれなりに安泰で穏やかな日々を送れるかも知れない。娘達と共に。権力に、力のある者に寄り添うのが正しい生き方なのかもしれない、この時代に生まれた無力な女は。
流されるしか、無いのか。男の意思に。男の意のままに。女はそうすることでしか生きていけないのか。
私は、ここでまた夫を残して自分だけが生き延びるのか、運命に流されるままに。
嫌だ。私は、嫌だ。
流されて生きることが女の運命ならば、私はその運命に抗おう。誰が、誰が、人の意のままに生きるものか。私は私の死に方を選ぶ。他の誰でもない、私の為に。
「私は、ここに残ります。」
と、お市は柴田勝家に告げた。
「二度も夫を見殺しにする女になりたくはありません。ここで、あなたと共に死ぬのもきっと前世からの御縁でしょう。」
そうして、お市は三人の娘達だけを秀吉からの遣いに託し、城に残った。
お市と寝た男達は、彼女を欲しながらも得ることができなかった男達の手によって殺される。長政も、勝家も。彼女が愛した男は、彼女を愛した男達によって命を絶たれる。いつも。
秀吉は、お市を永遠に失ってしまった。もう決してお市が自分の手に入ることは有り得ない。秀吉は慟哭した。お市様、お市様、俺ほど全てのものを手に入れた人間はいないと世間は言うが、俺は俺の一番望むものを手に入れることが出来なかったのだ。あなたさえいれば他の女などいらなかった。権力と金でたやすく手に入る女達などは全てあなたの代わりに過ぎないのに。愛されようなどとは思っていなかった。ただ憎まれても蔑まれてもあなたが欲しくて、その為に俺はここまで這い上がってきたのに。俺はあなたを永遠に失ってしまった。そしてこれから俺は死ぬまであなたの面影を追い続け苦しみ悶えることになるだろう。いっそ俺の手に落ちて、俺の側で老いて醜くなって欲しかった。そうすれは俺は俺の縛りつけるあなたの幻影を諦めることができたのに。俺はこれから一生、あの初めて出会った日の大輪の花のような気高く美しいあなたの幻影に縛り付けられて生きなければいけないのだ。決して手に入らないものを追い続けて生きなければいけないことの、なんと苦しいことか。
それからの秀吉は、かっての信長のようだ。何かに憑かれたように魔神の如く天に突き進んでいく。
歴史に名を残すのは大抵が男だ。しかしその名を残す英雄の影には運命の女が存在する。歴史を作る英雄を動かす女がいる。その女の意思を越えた力で。その女は巫女のようだ。世界を創造する神が英雄を動かす為に遣わした巫女のようだ。動くのは男、動かすのは女。そういう運命の女が時代には存在する。歴史を作る為に。
男の人生は運命の女を求め続ける旅なのかも知れない。
娘達よ。茶々、初、江与、三人の娘達よ。母は、この北の庄で死を選びます。お前達を残して夫と共に死ぬことだけが心苦しい。お前達は二度も父を亡くし、今またこうして母をも失おうとしている。お前達と共に城を捨て逃げることこそが母親としての正しい道なのかも知れないと今も迷いは消えぬままです。生き延びる道があるのに死を選ぶ母は愚か者なのかも知れません。
後世の人は私のことを悲劇の女というでしょうか。私は決して悲しい運命に翻弄された女などではないのに。私は自分を慈しんでくれる二人の夫に出会うことが出来た。共に死んで悔いはないと思えるほどの人と一緒になれたこと、これを幸運といわずになんといおうか。このままならぬ世の中に生まれて。
娘達よ。この乱世にあなた達は生まれて、これから生きていく上で悲しい出来事に必ず遭遇するでしょう。自分の力ではどうすることも出来ず流されるしか女は生きることができない世の中です。ただ、その流れにただ流されて嘆き悲しむことは実は楽なことなのです。娘達よ、こういう世に生まれてきたからこそ、お前達は誇り高く強く生きなさい。思うままにならぬ人生だからこそ一人の人間として決して流れに身をまかせたまま嘆き悲しむような生き方をするべきではないのです。
忘れて欲しくないのは、あなた達は嘆き悲しむために、この世に生まれてきたのではないということです。母は最初の夫を亡くし、息子を殺された時に、この世に生まれてきたことを、女であることを激しく嘆いて身悶えしました。どうしてこんなに悲しまなければいけないのか、と。しかし、涙が枯れるほど泣きつくした後、母はもう嘆くことをやめたのです。嘆き悲しみ続けても、何もそこからは生まれてこないからです。そうして泣いて生き続けていれば、本当に私は生まれてきた意味がないことになる。私がこの世に生まれてきた意味は、確かにあるはずなのです。娘達よ、あなた達もこれから身を引き裂かれるような悲しい出来事にきっと、きっと遭遇する。
それでも、忘れないで欲しい。あなた達は流されて嘆き悲しむために生まれてきたのではないのです。
誇り高く生きてください。母は、いつまでもあなた達を見守っています。
お市は北の庄城で柴田勝家と共に炎の中で華のような生涯を閉じた。
しかし、彼女が歴史を作り上げるのは、これから、なのである。