ハートウォーミング怪談と「やの屋」


 5/3大江能楽堂での怪談社イベント「妖国BASARA」行ってきました。今回のゲストは女流作家の田辺青蛙さんと三輪チサさん。三輪さんはメンズナウのインタビューにも登場していただいております。怪談社の「黒」衣装と、女性陣の「白」衣装(実はコスプレだったらしい)が古い能舞台で怪しげに混ざり合います。後ろには「常世ガールズ」も佇んでいる。田辺青蛙さんの淡々とした口調から繰り出される「世の不思議」、三輪チサさんの透明感のある声で語られる「死者の想い」、それぞれその作家さんにしか出来ない怪談がとてもよかった。今さらですが、同じ話でも語る人により、聞き手に伝わってくるものは、全く違います。願わくば、前回のゲスト宇津呂鹿太郎さん、朱雀門さんと田辺さん、三輪さんとのコラボなども見たい。
 しかしまさか私がネタにされるとは思わなんだ……前日にツイッターで怪談社&宇津呂さんBLをつぶやいて宇津呂さんいじりをしていたのですが、怪談社からストップ入らんから「イベントの前日で忙しくて見てないんだなー」と気楽に構えていたら、しっかり読まれていて、しかも当日に本人に朗読されちゃったよ……。


 ちなみにこんなんです。イベントで紗那さんに朗読されてしもた。
 ↓
Оイベント打ち上げのあと酔った紗那を介抱しながら唇を奪う宇津呂…。その日から意識し合う2人の様子に気づいた紙舞ははじめて自分が紗那を好きだということに気づく…三角関係の行方は?!
О紗那は紙舞に以前から惹かれていたが、あの夜の宇津呂の唇の感触が忘れられない。取材で行った心霊スポットで脅える紗那を抱きしめた紙舞は「好き」と告白するが紗那は「自分の気持ちがわからない」と拒む。そんな中3人が共演する怪談会の日が迫ってきた…。
О怪談会当日、宇津呂と紗那のことが気になりミスを連発した紙舞。「何やってんだ!」と紗那に詰め寄られた紙舞は「俺なんかより宇津呂と組んで怪談社したらいいだろ!」と泣く。紙舞を「お前じゃなきゃダメなんだよ」と抱きしめる紗那。それを見ていた宇津呂は…
О紙舞への愛に気付く紗那。その夜2人は十三の某所で…(自粛)。傷心の宇津呂は「いつかあなたを怪談でふりむかせてやる」と決意し、「幽」の怪談実話コンテストに応募するのであった(第一部・完)


 そんな流れで(本気にしないでください)「幽」の第3回怪談実話コンテストに佳作入選した宇津呂鹿太郎さんですが、入賞者達の実話怪談を集めた本が出ております。
 全体的に文章がすごく読みやすくて楽しめました。宇津呂さんの「黒い顔」は、顔が無いのに視線を感じるといのがゾっとした。でも幽霊に遭遇するってすごく感覚的なものだと思うから、妙にそれがリアリティがあるよう。あと、大賞受賞者の丸山政也さんの「一本松の家」が、嫌な話でよかったです。(私は嫌な話が好きなのです)それと剣先あやめさんの「らくがき」「ひっぱるの」子供が出てくる平仮名タイトルの二話は、静かに足元から恐怖がせり上がってくる感じでした。タイトルのつけ方がすごくいいと思った。特に「ひっぱるの」は、読んでからその平仮名を読むと、言葉がなくなる。でもホント、全て面白かったです。一読の価値ありです。

 

怪談実話コンテスト傑作選3 跫音 (文庫ダ・ヴィンチ)

怪談実話コンテスト傑作選3 跫音 (文庫ダ・ヴィンチ)


 そういえばこの前、家で夫に三輪チサさんの話をしていた時に、私が、

「三輪チサさんの怪談は、ハートウォーミング怪談やねん」 


 と、言うと夫が、


「何? それ? 怪談にハートウォーミングってわからへんねんけど」


「ちゃんと怖いんやけど、心があたたまるねん。怪談、ちょっとええ話、みたいな」


「なんなん、それ、ハートウォーミング怪談て、『キャスパー』とか『ゴースト』みたいな感じ?」


「あれは怪談ちゃうわ!」
 
というような会話がなされました。「妖国BASARA」でも「ハートウォーミング怪談」披露されましたよ。




 連休は前半ちょいと実家に帰省してきました。居間でだらだらしていると、戸棚の奥に私の本「花祀り」を発見してしまいましたとさ……。
まさか購入されていたとは……読まれてないことを祈る……。
この連休で、一番怖かった話はそれです……。


 連休はずっと仕事しててバタバタしているのですが、時間を作り、特別公開のはしごをしてきました。六道珍皇寺の「黄泉がえりの井戸」(昼は嵯峨天皇、夜は閻魔大王に仕えていた小野篁が地獄から戻ってくるのに使われていた井戸)、法住寺後白河法皇法性寺の国宝千手観音像! はじめて観るものばかりでテンションあがりまくり。そしてこの付近は、中退した大学が近いので昔住んでいた馴染みの深い場所なので、かつていたアパートなどの前を通ったりうろうろしてきました。寺はいい。もっと行きたい! 一番好きな場所かもしれん、寺。



監督失格」の平野勝之監督によるドキュメンタリーショートムービー『やの屋、藝大生×矢野顕子希望の作り方』が、糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」にアップされております。前半と後半とあり、後半のラストで映画を観ることが出来ます。この作品は昨年の東京藝術大学の学園祭での「やの屋」と名付けられた矢野さんと藝大の学生さんたちによるイベント当日と、それに至るまでの様子です。矢野さんと学生の「距離」と「ズレ」も描きながらも、歌の持つ力により、17分という時間の中で完成されたドラマになっています。
監督失格」にしても扱うテーマと「起こった現実」の重さに焦点が集まりがちですが、平野勝之という監督は非常に高い技術を持っている方です。


やの屋、こちらからご覧いただけます⇒http://www.1101.com/yanoya/2012-05-02.html