たどりついたらいつも雨ふり


 家を出た時から、新幹線の景色も、江戸に着いてもずっと雨。週末の予報を見ながら、こりゃ傘いるなと、ビニールの金魚模様の傘を持っていくことにする。

 東京駅着いたら、まず池袋へ。
 以前、連載させていただいたAV情報誌「DMM DVD(現TENGU)」編集部にご挨拶に。
 お忙しいところ、珈琲頂いて、緊張のあまりアホ全開トークいいあですいません。緊張で汗出た。

 池袋から新宿へ。
 バスガイドのクセに方向音痴で、東京さっぱりわからん私を、淫語魔(淫語AVサイト管理人)が駅に迎えにきてくれて、待ち合わせ場所の新宿ラムタラ前に向かう。
 AV監督兼男優・太賀麻郎さんが既に着。ジャージに毛皮のコート、長身で男前なので、わかりやすい。まっちゃんことライター松田尚之さん到着。まっちゃんはAVとかエロ関係じゃないライターさんです。後のメンバーは遅れるということなので、4人で居酒屋へ。

 お店に着いて、飲み物を注文する。そこで、AV監督兼男優・二村ヒトシさん到着。この前まで家族でデンマークに行ってたそうな、テンション高く、○○自慢とか、○○自慢とか(いつものことですが、ちょいと内容は憚れる超プライベートKYな自慢話に閉口・・・久々会ったらKY悪化してて逆に過剰な自慢話ばかりで痛々しくもあり。ま、いろいろあるよね)。 飲み放題なので、とにかく注文。料理も来る。ビール、日本酒、中国酒、ウィスキーを飲むわたくし。(これが後でエライことに)酒がまわる。
 そして、映画監督の石岡正人さん到着。石岡さんは、元アテナ映像で代々木忠監督の元に居てAVを撮っておられた方です。第1回劇場映画監督作品『Pain/ペイン』で2001年日本映画監督協会・新人賞を受賞されて、現在は代々木忠監督のドキュメンタリー映画を製作中です。また京都精華大学客員教授でもあります。
 代々木監督のドキュメンタリー映画は、まず海外映画祭に出品されて、それから国内上映の予定だそうですが、ある程度の年齢のAVファンにとっては、すんごい豪華キャストが登場します。様々な人達の証言で「代々木忠」が浮かび上がる、そんな映画だそうです。
 直後、現在福祉関係の会社を経営されている、ライター中村淳彦さん登場。中村さんの書かれたベストセラー名前のない女たちも映画化されるそうです。
 すいませんねぇ、この時点でもう酔ってて、思いっきり中村さんに、


「あつひこ! あつひこはもっと文章で発信していくべきだよ!」


 とか言うてたね・・・私・・・2回しか会ってないのに呼び捨て・・・
 でも、それは、本音なのですが。
 同い年なのですが、すごくリスペクトしていて、未来があるライターさんです。更に本音言うと、映像もまた撮って欲しいけどね。

 酒の場では、「経験した女は5000人以上」の太賀麻郎さんのセックス論のような話に、聞き入ったり。太賀さんの話は面白い。短い言葉で、人の心に響く表現が登場する。それはきっと、太賀さんという人が、非常にシンプルで、自分の経験の元に構築された括弧たる言葉を使い語る人だから。ゆらぎないし、力があるから響く。
 太賀さんと、ライター東良美季さんの共著「AV黄金時代」という本も春に出版予定です。

 時間になったので場所を移す。
 カラオケボックスへ。ここで、太賀麻郎ファンブログ管理人の「手放しシスターズ」ハルミさんと菊乃さん合流。ハルミさんはOLさん、菊乃さんは田房永子名義で漫画家・ライターでもあります。
 「今夜も手放し運転」という2人のブログが、非常に面白く、面白いというのは、対象・太賀麻郎さんとの距離のとり方と、描き方なんですね。
 ブログというのは「自分語りツール」やと思うんですが、AV男優の片山邦夫さんによる、AV男優の佐川銀次さんの観察記・銀風呂と、こちらの手放し運転のように、「おもしろい人」を持ち上げるのではなく、勿論上から目線でもなく、ほどよく距離を置いて、ユーモアと知性がありながらもシニカルな文章で、読み手に提供するというのは、実は非常にバランスにおいて難しいことだと思います。

 それはともかく、そういうブログを書いてる2人が、可愛い女の子で、ついつい興奮してセクハラオヤジと化してしまったわたくし・・・

 自分の乳を触ってもらったことは覚えてますが、太賀さんの日記を読むと、「太賀さんと4Pしましょう」とかほざいてたみたいですね。
 すいません。
 こんな可愛くて頭のいい人達に好かれるというのも太賀さんの人徳だなと思い、何故か口惜しがるわたくし。

 カラオケにはいたけど、殆ど歌うことなく、皆で楽しく(?)談笑。
 って、酔ってたから、よくわかんないや・・・

 カラオケ屋を出て、解散。明らかに泥酔してるので、淫語魔に花園神社に連れていってもらって、大きな「ちんこ」を見た。
 
 ずっと雨。花園神社も雨。
 どしゃぶりではないけれど、雨が降っている。
 そういえば、淫語魔さんが去年、京都に来て会った時も、雨だった。晴れてる日より、雨の日の記憶の方が鮮明だ。この手の中の傘の重みを覚えているからか。
 だからきっと、この日の記憶も。

 夜中。
 トイレで吐く。
 ひさびさ。

 だけど思いっきり吐いたおかげで、二日酔いもなく、翌朝はかなりすっきり。

 え? これ、何の会って?
 「藩金蓮さんを囲む会」ですよ! 
 私が名付けたんだけど! お前何様だよ偉そうにっ!
 って、いいでしょ、たまにしか東京行かないんだから。

 翌日は水道橋にて友人と待ち合わせ。
 お昼を食べて、その後、読書好きの友人に、神保町を案内してもらう。神保町って初めてです。と、いうか、東京って実は殆どどこも行ってない。
 友人は、どこの古本屋にどんな本が充実してるかとか、非常に詳しい。叫びたくなるほど、貴重な本がわんさかある。

「いつか金持ちになって、ここ来て、アホほど本買うたる」

 と野望を抱く。

 お茶して、いろいろ話す。友人は、すごくシンプルな人で、話をしているうちに、いろいろ自分の中でもやもやしていたことがクリアになり、すっきりしだす。

 その後、柴又へ。
 実は今回の一番の目的はこれです。
 柴又の万福寺というところで、「GATE」という映画の上映会があったんです。以前にも書きましたが、私めの保育園の園長先生が出演されていて、広島、長崎の「原爆の火」を、アメリカで世界で最初に核実験がされた場所に戻し、悲劇の輪を閉じようと、行脚する僧侶達のドキュメンタリー映画です。
 早目についたので、柴又散策。寅さんの銅像が!
 なんか雰囲気よいですね、早目にきてよかった。
 ホント、私、東京を知らないんだわ。

 映画はお寺の本堂なので、お茶などをふるまってもらい、ご本尊様の前で線香の香りの中でスクリーンに上映。数十人が来ていて満席。
 映画の感想は、また改めて書きたいです。
 ただ、ラストシーンでは、長崎で被爆された園長先生こと永平寺の堪忍和尚、大田大穣さんの切なる表情に、何人もの人が泣いていた。私も。末期癌で胃の殆どを切除している僧侶や、アメリカを憎み続けている僧侶、核で家族を失ったアメリカ人女性達が、ひたすら歩き、語る。

 映画の上映後、新宿へ。
 夜行バスで京都へ戻る。

 帰りの道のりも、ずっと雨。
 京都に帰りついても雨。
 私は傘を無くす名人なので、こうしてずっと降り続けてくれていた方がいいのかも。そうしたらお気に入りの傘を無くさないでいられる。

 楽しい週末だった。来ていただいた方、ありがとうございます。あなた達と、このブログを読んで下さってる方達のおかげで、私は「あの時、死ななくて良かった」と、大袈裟ではなく思います。
 未だ、いろいろ哀しいことや辛いこともあり、しょっちゅう落ち込んだりもするんですが、今は、幸せだわ。
 特に何があったわけでもないし、誰かに悩み相談したわけでもないんですが、いろんな人達と話しているうちに、心の中でとぐろを巻いてくすぶっていたことの正体がクリアになり、すごくスッキリした。

 だけど残念なのは、酔い過ぎて、ちゃんと話が出来なかったことです。酔っ払いは大嫌いだといいつつ、逃げるように飲んでしまって、それがかなり心苦しくて残念。


 ところで、神保町で購入したのですが、週刊実話の別冊で、アテナ映像・代々木忠本が出ております。


アテナ映像ダウンロードページ
http://www.athenaeizou.com/download/

amazon はこちら
http://www.amazon.co.jp/%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8%E5%BF%A0%C3%97%E9%80%B1%E5%88%8A%E5%AE%9F%E8%A9%B1DVD-2010%E5%B9%B4-4-6%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B0038QZQ4S/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=books&qid=1267069947&sr=8-3

 付録のDVDに今はもう観られなくなった作品などが収録されてあり、お得です。

 セブンイレブン以外のコンビニに置いてありますので、手軽に「代々木忠」の世界を垣間見ることが出来ますので、是非この機会にどうぞ手にとってください。

 代々木監督のことだけではないですが、死ぬ気で生きてきた人間は強いなぁと思う。死ぬ気、というのは、本気で、覚悟を持って生きてきた人間ということ。泥水を啜り、地に頭をついて、踏みつけられて唾を吐きかけられても、どんなカッコ悪いことも出来る人間が、カッコいい。誇りがあるから、それが出来る。
 そしてそのエネルギーは、屈辱であったり、憎悪であったり、怒りであったり。死を目の前に生きてきた、地獄を生きてきた人間だからこそ、か。
 AV業界から発信している人で、現在、万人に届き心を打つ言葉を発しているのは、代々木忠監督と、村西とおる監督だけだと思う。2人とも書いてることとか、かなり強引で「おいおい」とツッコミたくなることもあるけど、説得力というのは迫力で、それは、地獄を生きてきた、死ぬ気で生きてきた、つまりは腹をくくっている男だからこそ、か。

 私もこうして能天気な日常しか不特定多数の人が見るところでは書きませんが、憎悪に塗れる屈辱的な出来事や、死にたくなる哀しい出来事が、最近でもあった。怒りで眠れない夜もあった。だけど、だからこそ、もっともっとしたたかに、強く、憎悪や怒りのエネルギーで、何かを作れたらと、思う。そういう感情を呼び起こしてくれるのも、代々木忠監督という存在だ。

 代々木監督のドキュメンタリー映画は、公開がいつになるかはわかりませんが、「性」というアウトローの世界を生き抜いてきた人々の姿を、是非いろんな人に観てもらえたらと思う。

 私は、やっぱり代々木忠という人が、いつも人生のターニングポイントにいて、代々木監督がいなければ、今の自分は無いと思うから、こうして記録され、記憶され、たくさんの人に知って欲しいと切に願う。



 たどり着いたら、いつも雨降り。
 明日も雨。
 雨は涙。
 降りしきる雨は涙。
 

 だけど、はじまりは、いつも雨。