エロ戦士エッチマン 第2部 〜帰ってきた立花里子〜

hankinren2008-08-25




二村 「・・・一年後には、戻ってくるんだよね」

里子 「・・戻ってくるわ、必ず。そしてあなたに会いに行く。悪の女ボスとしてではなく、立花里子という一人の女として、あなたに会いにいく」

 目に涙を浮かべる里子を、二村青年は強く抱きしめました。

二村 「一年後、あなたが帰ってくる時には、あなたを守れるぐらい強い男になっているから・・・エッチマンに変身した時だけ強くなれる男じゃなく、ちゃんと1人の男として強くなりたい。僕は自分の甘さと弱さであなたに傷を負わせてしまった、自分の命を捨てようとしてまで僕を助けてくれたあなたを、今度は僕が守る番だから・・だから、必ず戻ってきて欲しい・・・そして、その時には、あなたとセックスしたい。エロ戦士エッチマンと、悪の女ボスとの戦いのようなセックスではなく、ただの男と女が、愛し合うためにするいやらしいセックスを、あなたとしたい」

 そう言って、二村青年と立花里子は人目を憚ることなく抱き合って唇を合わせました。何度も何度もキスをしました。本当は里子に行かないでくれと二村青年は言いたかったのです。けれども今の彼は言えませんでした。里子にもそれはわかっていました。愛してるとも好きともお互い言えずに、「一年後に戻ってくる」と、当てのない約束の言葉を交わすことで精一杯でした。

 飛行機のゲートの向こうに去っていく里子を見送りながら、一年後、彼女が戻ってくる頃には僕はどうなっているのだろかと二村青年はぼんやりと考えていました。

 里子が乗った飛行機が遠い空の向こうに飛び去っていき、遂には見えなくなりました。二村青年の胸は、寂しさで締め付けられるように痛みました。それでもその痛みは彼の心を暗くさせる種類の痛みではありません。

 今まで味わったことのない痛みではあるけれども、それはまるで古い表皮の下から新しい皮膚が顔を覗かせ、生まれて初めて浴びる太陽の光の熱に触れたような生命の息吹を感じさせる種類の痛みでした。

 二村青年は、夕陽を背に受けて駆け出しました。

 孤独という痛みを背負いながらビデオ屋に向って走り出しました。

 「生き延びたいのなら、戦え」という父・TOHJIROの残した言葉を何度も思い浮かべながら、照りつける太陽の熱に焦がれそうになりながら、エッチマン・二村青年は走りました。

 これから陽が沈み夜となり、そしてまた明日陽が昇り、それが永遠に繰り返されるだろう。終わらない日々の中で僕はただ、未来を信じて生きていくしかない、戦いの日々の中で、生き延びていくしかない―

 AVに囲まれた、あの空間を目指してエッチマンはひたすら走りました。今夜はどのAVでヌこうかと、終わらない日々の中で確かに喜びを得られる「オナニー」のことを考えながら彼は走りました。

 ただ、ひたすら、走り続けました。

 

 エッチマンよ、どこへ行く。

 この世に性欲というものが存在する限り、人はオナニーをし続け、セックスを求める。

 だから、アダルトビデオは滅びない。

 

 エッチマンは、戦い続ける。

 そして、彼はあなたの街にもいるのです。

 性欲がある限り、オナニーがある限り、セックスがある限り、エッチマンは存在し続けるのですから。



 もしかしたら、あなた自身が「エッチマン」なのかもしれません。


           
         エロ戦士エッチマン  第一部・完











 さてみなさん(浜村淳口調で読んでください)、上記のような感動的(?)なラストシーンで終わりを告げた、エロ子さんが去年の夏にヤバいぐらい必死になって書いていた「愛と涙のAV讃歌・エロ戦士エッチマン」覚えていらっしゃるでしょうか。覚えていない方は以下のシリーズを読んでね!
 

エロ戦士エッチマン参上!
その2
その3
その4
最終回〜エッチマンよ永遠に〜


 「第1部 完」とか締めましたが、実はめんどくさくて全然第2部など書く気はないのですが(誰も期待してねぇか)あれからちょうど1年たって、エロ子さんの妄想ストーリーの登場人物達が怒涛の展開を見せてくれておりますので、「現実」の物語を第2部としてお届けいたします。「アホ女がなんかいうとるでぇ」と軽く流しながら読んでおくれやっしゃ。




 まず主人公・二村青年こと二村ヒトシ監督は、ある日、

「私は今日から19歳処女のAV監督少女・ヒトミなの」

 と、ツッコミどころ満載の宣言をなさって(実際は42歳・妻子有り)その後、ドグマを退社されてフリーになられました。

 ヒロイン・蒼井そら様は、相変わらず活躍なさってますが、韓国で本格的な女優活動開始のニュースも耳にします。


 南波杏様は引退されちゃいましたね。引退ん時に、過去のダイジェストみたいなのをざっと見てヌいたけど、何年やっても清廉なままなんだよなぁ。



 森下くるみ様は、小説を発表なさったり著書が文庫で復刊したりご活躍中。
 夏目ナナ様も引退されましたが、まだまだ絶賛活動中。


 えっとそして、物語の中では新しい事務所に移りデビューを決めた松嶋クロス監督ですが、ご存知の如く現実にはAV監督を引退されて鼠先輩のプロデューサーとして大活躍でございます・・・もう慣れたけど、最初はテレビで鼠先輩を見かけると、現実と非現実がシャッフルされて混乱したり力抜けたりしませんでした? この前も2ndシングルのPVが「おはよう朝日」(私が唯一見る関西ローカルの朝の情報番組)で流れてて、しっかりそのPVの中にも「企画・松嶋重」の文字が・・・すごいことやんね。いろんな意味での才能ってもんを見せ付けられます。





 そして物語の中では、「一年後に戻ってくるわ」と言い残して去っていった立花里様は、その後、AV女優を引退なさって、戻ってまいりました!
 今月29日に、立花里子イラストエッセイ『絵ロ本。(エロボン)』発売です。


 ネットで連載してた頃から愛読していたのですが、立花里子の誕生から高校生までの半生を描いた力の抜けまくったこのエッセイは、今までの裸を売る職業の女性達の本とは色が違います。「立花里子」を知らない女性達も、もし機会があれば手にとってください。見かけはクールビューティーリコピン立花里子のニックネーム)の脱力してヌケないけど(多分)いい気持ちになれるええ感じのエッセイです。って、まだ本は発売前やから読んでないけど、ネットの連載がおもしろかったんで非常に楽しみです。
 
 美しくて「デキる」AV女優の立花里子の、こんなマヌケで可愛い一面。当たり前ですけど、人間が人前で見せる顔ってのはほんの一部で、目に見える魅力ってのも氷山の一角で、我々をヌかしてくれた立花里子の、今まで見えなかった魅力が本になってこうして誰でも手にとることができることになったのは非常にええことです。

 できたら「立花里子」を知らない、AVを見た事がほどんどない、AVの何がいいかわからない、だけどAVに興味がある人は、こっそり「絵口本。」を広げてみてください。
 上記のサイトにリコピンのビデオメッセージももあります。よろシコシコ。


 ネット連載中に読んでて、何に感心したかっちゅうと、そのサービス精神です。読む人へのサービス精神、すなわち奉仕の心、だから「立花里子」を知らない人でも楽しめる読み物になっております。よろシコシコ。(←リコピンのこの言葉がお気に入り)

 その「サービス精神」は、今の私に欠けてるものだから非常に羨ましいシコシコ。
 サービス精神、サービス精神、でもこれは内から自然に湧き出るものだったりするのねん。人を楽しませたい、喜ばせたいって心から発するもの。他人が見えていない、見せかけだけの、表面だけのサービスはただの媚びになる。だからみなさんよろシコシコ。
 つーことで、「絵口本」買って、ワシも立花里子先生を見習うことにする。シコシコ。29日の金曜日には本屋に走るシコシコ。


 そんな「エロ戦士 エッチマン」から、一年後の夏の終わり。シコシコ(もうええっちゅうねん)

 涼しくなりました。
 私は京都へ復帰して2年目の夏。
 まだ2年、もう2年。
 来年の夏は、どうしてんのやら。
 とりあえずこれからもよろシコシコ。