映画評のようなもの
「援助交際」って、ロクでもない言葉だなぁと思う。「ニート」という言葉が、働かず親の脛を齧ることの罪悪感を軽減させたように、「援助交際」は売春をする人間と、買春をする人間に言い訳を与えた。私はセックスを売っていない、俺はセックスを買っていな…
ところで、「監督失格」初日の公開を観る前日に、10月15日全国公開の井口昇監督の「電人ザボーガー」試写を観た!!! 私はオリジナル版の方は知らないけれど、昭和の特撮の匂いがプンプンして、それでいて井口テイスト漂う大人が楽しめる大エンターティ…
TOHOシネマズ六本木で、「監督失格」初日初回を観た。 試写で一度観てるんだけど、この映画が一般に公開される「瞬間」に立ち会いたかった。 ただ映画を観るというだけではなく、自分の中で儀式というような気がしていた。感覚としては、お葬式。 前へ進…
平野勝之監督の新作「監督失格」を、一足先に試写で観た。 とても客観的な「批評」なんて出来ない。そもそも、私は自分に多大な影響を与えた平野監督の「由美香」に関しても、未だに語れないのだ。言葉を生業にする者として情けない話だが、言語化出来ないで…
戦国時代、名も無き小兵達の中には、戦場に向かう折に懐に男女の絡みの絵、すなわち春画を潜ませていた者も居たという。死と隣り合わせの日々の中で、戦に勝ち生きて帰って来よう、そしてまた女に触れよう、妻を、愛おしい女をこの手に抱く為に死んでたまる…
私は、セックスがわからない。何もわかっちゃいないんだな――「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」を、試写室で観ながら、ずっと頭の中ではそのことがぐるぐるとまわっていた。 「AVのセックスで感じるはずがない。愛がないから」 みたいなことを、以…
「君さぁ、人生楽しい? 自分じゃない誰かになれたら面白いって思わない!?」 映画「名前のない女たち」より ずっと、自分は特別な人間だと思っていた。永い間、つい最近まで。特別運が悪く、要領も悪く、醜くて、恵まれなくて、アタマも悪く、どうしようも…
――復讐が、その男のすべてだった―― 自分を貶め辱め足で蹴落とし踏みにじり侮蔑し嘲笑した人間に、報いを。 憎いヤツを殺したいか、ひと思いに命を絶ってやりたいと願うならば、それは本当の憎悪ではない。殺して命を絶つなんて、してやるものか。この世から…
「TOKYO NOIR トーキョーノアール」を、DVDで観た。2人の監督が描く、3つの物語。ふとしたことから、身体を売り始め、昼の顔と夜の顔を持った女達の物語。 「セックス」そのものではなく、「セックスの乾き」が描かれていた。私は自分の中の乾…
☆先日、「戦闘少女」を観に、京都みなみ会館へ行ってたんですが、そこでソフト化されてない井口作品の上映もあり、それが、もう、本当に面白かったんです。 タイトルは「魔悪子が来る!!」 勿論元ネタは、藤子不二雄A先生の「魔太郎が来る!」でしょう。「…
あなたは縛られたことがあるだろうか。 縛られて快感を感じたことがあるだろうか。 縄に酔うたことがあるだろうか。 「縛師 Bakushi」(監督・廣木隆一)を会社帰りにレンタルビデオ屋に立ち寄り借りて、観た。 女を縛る男と、縛られる男、それを職業にして…
歳をとる毎に思い知らされることが、幾つかある。 例えば、人は、ある日突然何の前触れもなく、いなくなってしまうことがあるということ。 さよならを言う隙も与えずに。ありがとうと言う隙も与えずに。あなたに会えてよかったという隙も与えずに。愛してる…
タイトルロールが流れ、館内に明かりが灯っても、席を立てない。頭の中が、現実の世界に戻ってこられない。身体を動かせない、心も身体もさっきまでスクリーンに映しだされていた世界の中に入ったまま戻ってこれない。昨日までの自分じゃない、数時間前まで…
私は好きな人が死んだ時、どうするだろか。 米女優キャサリン・ヘップバーンの自伝を読んだことがある。彼女は長く仕事上のパートナーであった俳優スペンサー・トレイシーと私生活でも良き伴侶であったが、彼は妻子が居て、宗教上の理由と彼の子供がハンディ…
女の顔は、変わる。お前が知っているあの女の顔も、次に会った時は、変わっているかもしれない。 それが、女だ。 「顔」という映画がある。阪本順二監督・藤山直美主演。おそらくもともとは福田和子の逃亡劇をモチーフにしたものだと思うが、結果として全く…